counter

記事一覧

【物理の土台を築く】力学の学習戦略

こんばんは。
八千代緑が丘校の轟です。

今回のブログでは、入試物理における力学分野の学習法について、
一般的な戦略を解説致します。
効果的に理解を深め、効率よく学習したい受験生にオススメです。

ファイル 4769-1.jpg

【力学分野の全体像】
□全体概要
力学はどの大学でもほぼ必ず出題される上、
物理の他の分野でもその知識・思考法を応用するため、
重要度が最も高い分野です。

力学の思想は、すなわち物理学の基本思想になります。
力学の学習を通じて物理的な考え方を身につけることが、
他の分野を学ぶ際にも大きな助けになります。

一方で、高校で履修する物理の力学は、実は大学教養レベルの
力学と大差がありません。
もちろん、いくつかの(それなりに多くの)項目が
抜いてはありますが、力学の考え方・思想そのものは
大学と同じものを学ぶと考えてください。

それゆえ、習得に最も時間がかかるにも関わらず、
物理の学習の一番はじめに取り組まなければならない
ところが、学習者にとってのハードルを高くしています。

裏を返せば、物理は学びはじめが肝心で大変さを伴う
のですが、それを乗り越えてさえしまえば、
その先の学習はかなり進めやすくなります。

□留意点
・最優先したい単元は…
まず、根幹をなす単元(運動方程式、運動の時間追跡、
力学的エネルギー保存則、2物体系の基本)に取り組み、
熱力学や電磁気などの他の分野に進みながら、
それらの範囲の演習を進めていきましょう。

それ以外の単元は後から埋めていく形でよいでしょう。

まずはとにかく、物体に働く力を図示して運動方程式を
立てられるようになることが大切です。
それが不完全なままだと、その後の運動量・力積やエネルギー
・仕事でのミスが減らなくもなってしまいます。

はじめに、「運動方程式と束縛条件」に丁寧に取り組んでください。
そして、力学の根幹をなす単元(運動方程式、運動の時間追跡、
力学的エネルギー保存則、2物体系の基本)の基礎を
学んでゆくことで、学の考え方に親しんでゆくことが
できます。


□完璧主義は禁物
力学がある程度できないと他の分野に進めないものの、
力学を完璧にしてから他分野に進もうとすると
学習計画が破綻します。

力学は範囲が最も広いため重要単元を優先的に進めつつ、
他の分野も並行して進めていった方が良いです。


□最も思考力が問われる
入試物理の中で力学が最も問題の幅が広く、
試験場での「思考力」も問われます。
普段の学習から、個別の知識だけにとらわれず、
体系を意識した学習を進めるとよいです。

また、一通り学び終わった段階で、知識・スキル
を柔軟に引き出せるように、頭の中を整理する
必要があります。

ファイル 4769-2.jpg

【力学の単元別ガイド】
ここでは,単元ごとに効果的な学習のための
ポイントを解説致します。

□運動学
速度・加速度の定義を押さえたら、なるべく早く
運動方程式へと進むのがオススメの単元です。

とりあえず、1次元の場合だけ扱い、2次元・3次元では
成分分解して扱うとだけ思っておけばよいです。

相対速度・合成速度などは、必要に応じて学んでいく方が
モチベーションを維持しやすいです。

ベクトルの図形的な理解も便利な状況はありますが、
必須ではなく、問題演習の中で学んでいけば十分です。


□運動方程式と束縛条件
運動方程式の立て方と束縛条件との連立について学びます。

・優先すべき4つの力:重力、弾性力、糸の張力、垂直抗力
 を優先して扱うのがよいです。

・束縛条件:未知量の力(張力、直抗力、静止摩擦力)が
 関わるときに必ず必要になることを理解した上で、
 典型的な例について訓練すると良いです。

・摩擦力:静止摩擦力と動摩擦力の混乱が多いため、
 ある程度慣れた後に学ぶのがオススメです。

・液体の圧力・浮力:教科書では早い段階に扱われますが、
 実は高度な内容を含み、難関大入試でも頻出です。
 実践的な問題演習の段階で学ぶことをお薦めします。

・運動方程式は習得に時間がかかるため、完全にマスター
 してから次に進むより、続くテーマの学習を進めながら、
 運動方程式を立てる練習・復習を同時に行うのが効率よいです。

一般の参考書・問題集では、運動方程式に到達する前に、
等加速度運動、放物運動、力のつりあい等のセクションがあります。
しかし、そのあたりを軽く飛ばして運動方程式に
じっくり取り組む方が実力も付きやすく、
学習のモチベーションも保ちやすいと思います。

慣性の法則については、簡単に触れ、深い意味合いは
後で必要に応じて学べばよいと思います。

「束縛条件が必要なときとそうでないときがある」
という誤解を防ぎ、「自明な場合とそうでない場合がある」
と正しく理解することが大事です。
状況に応じて、束縛条件が自明でない場合は
後回しにしてもよいと思います。


□運動の時間追跡
運動方程式と束縛条件を連立して解くと、物体の加速度が得られます。
その後、加速度から速度や位置を時刻の関数として求める手法を
学んでいって下さい。

・高校物理で運動の時間追跡ができるのは、基本的に等加速度運動と
 単振動のみ、教科書では等加速度運動が最初、単振動が後に出て
 きますが、数学的な基礎力がある受験生にとっては、
 等加速度運動と単振動をまとめて学ぶと効率がよいです。

・等加速度運動:公式当てはめだけでなく、v-tグラフの利用が
 入試本番で役立ちます。積分での理解もしておくと良いでしょう。

・標準レベルの受験生は、等加速度運動と単振動をしっかり学べば
 十分です。

・難関レベルの受験生は、加速度を積分して速度や位置を求める
 考え方を普遍的に学ぶのがよいです。
 最近では、指数関数で表される運動が増えているので、
 これも理解しておくと良いです。
 理想的には、単振動と指数関数で表される運動を微分方程式として
 学ぶのが効率的です。


□力学的エネルギー
力学的エネルギーの単元では、まず「エネルギーとは何か」
という概念に脱線しがちです。
それより「どうやって使うか」「どんな時に使うか」に集中して
学ぶことが大切です。
概念は後回しで構いません。

・仕事の計算パターンを把握した訓練:力が一定の場合、1次元の場合.
・運動エネルギーと仕事の関係、力学的エネルギー保存則、
 力学的エネルギー変化と非保存力の仕事などの関係が混乱しやすい
 部分です。
 位置エネルギー(potential energy)の意味を明確に理解し、
 系 (system) の捉え方を強調することで統一的に理解する
 ことができます。


□円運動
円弧を描く運動が分かっている運動については、
円運動の公式を適用するという単元です。

・円運動の加速度の公式を押さえた上で、等速円運動と
 非等速円運動の代表例を扱い、定石を理解しておくことが
 大切です。

大学以降では、あらゆる曲線運動は瞬間的に円運動で
近似できるという考え方もありますが、入試レベルでは
それを意識する必要はありません。


□複数物体系の基本
初心者と中級者の間で差がつきやすい「複数物体系の運動」の
保存則(運動量・エネルギー)を用いた取り扱いを学びます。

・まず,運動量保存則について学ぶ.
・複数物体からなる系の力学的エネルギーについて理解する.
・複数の物体の連動した運動では、全体で1つの系と見て、
 運動量と力学的エネルギーの保存則で扱うという定石の
 トレーニングを行います。これで中級レベルに達します。
・束縛条件も連立する場合まで扱えば上級レベルになれます。
・個々の運動が追跡できるのは、運動方程式と束縛条件が
 あまり複雑な形をしておらず、個々の運動が等加速度運動か
 単振動に帰着できるような場合に限られることも理解して
 おきましょう。


□衝突
衝突も複数物体系が連動する運動の一例ですが、
衝突時に働く力の詳細が不明のため、定石とは
別の取り扱いが必要になります。

・衝突時であっても、外力がない方向の系の運動量は保存します。
・力が未知であるためエネルギーの議論はできません。
 そのため、問題文で与えられた条件(衝突のモデル)を読み取って
 問題を解かなければなりません。
・頻出の衝突のモデル:反発係数を与える、弾性衝突の指定、
 衝突後の相対速度の明示。

物理では、現象を指定すれば解法が決定されます。
衝突の場合はどういうモデルを扱うか指定しなければ
ならないためです。
問題文にある条件をしっかり読み取ることが重要です。
この点が例外的なため注意が必要です。


□中心力と天体の運動
主に万有引力のもとでの天体の運動を学びます。
歴史的な背景やエピソードは面白いものもありますが、
入試対策としては比較的扱いやすい単元です。

・面積速度保存則とケプラーの法則を学びます。
・円軌道と楕円軌道の場合の定石をしっかり押さえておけば十分です。
・難関大受験生は、面積速度保存則を天体の運動に限らず、
 一般論として理解しておくことが求められます。


□動く座標系
混乱の起こりがちな動く座標系における慣性力(架空の力)を扱います。
入試で出題されることは多いものの、止まっている座標系と動いている
座標系の視点が混乱しがちで、多くの受験生が混乱します。
基礎的な学力がしっかり身についた後に学ぶのが効果的です。

・慣性系に対し、等加速度運動している座標系における慣性力と
 等速回転している座標系における遠心力について学びます。
・「動いている観測者から見ると…」といった形で曖昧に表現される
 ことも多いですが、異なる座標系を扱っていることを明確に理解する
 ことが重要です。


□剛体
剛体については、つりあいについてのみ扱います。
・剛体のつりあいの条件として,力のつりあいと
 力のモーメントのつりあいを連立します。
・重力の作用点としての重心の知識も押さえておきましょう。
・典型設定として、棒のつりあい(摩擦がらみ)、箱のつりあい
 (倒れない条件を含む)に触れておきましょう。


□重心(質量中心)
複数物体系の連動した運動において、重心の運動に注目すると、
特殊な設定でうまく解ける場合があります。
これは非常に特殊な設定であり、入試では決まりきった
パターンでしか出題されません。

・決まりきった典型的なパターンを一通り押さえておけば
 十分です。
・標準レベル受験生は、余力があれば学び、最低限の知識を
 押さえる程度でよいです。
・難関レベル受験生は、ある程度学習が進んだ段階でしっかり
 学んでおきましょう。

(八千代緑が丘校 轟)

=======================
新年度特別招待講習受付中!詳細・お申し込みはこちら!
<新高3、高2、高1、高0>
https://www.jasmec.co.jp/toshin/event/shotaikoshu/

一日体験の詳細・お申し込みはこちら!
https://www.jasmec.co.jp/toshin/event/taiken/

<八千代緑が丘校 校舎紹介ページ>
http://www.jasmec.co.jp/koushaguide/pym.htm

<八千代緑が丘校の校舎紹介動画はこちら👇>
https://youtu.be/KOoM-l4YrOE

★Instagramやってます★
フォローお願いします👇
https://www.instagram.com/honshin_premium/
=======================

中学準備講座

こんにちは!
鎌取駅南口校の小井塚です。

本日は中高一貫校の新中学1年生対象
中学準備講座のzoom説明会を開催しました。

大学受験部には実は多くの中高一貫校の中学生が在籍しています。
高校入試がない分、早くから大学受験に向けて学習を進めています。

ただ、新中学1年生にとってはまだまだ先ですよね。
それよりも入学後の勉強以外の楽しみがいっぱいです。
特に4月は初めての電車通学や部活動見学、友達作りの方が大事です。
そういったことに専念するために現在中学準備講座を進めている
新中学1年生には、4月の中学校での学習分の先取り学習を進めています。

早くに進学先が決定した生徒には、
説明会に先だって準備講座を開始しています。

ファイル 4767-1.jpg ファイル 4767-2.jpg

充実した中学校生活を送るために
みんなで良いスタートダッシュを決めましょう!

(鎌取駅南口校 小井塚)
=======================
新年度特別招待講習受付中!詳細・お申し込みはこちら!
<新高3、高2、高1、高0>
https://www.jasmec.co.jp/toshin/event/shotaikoshu/
<新中2、中1>
https://www.jasmec.co.jp/toshin/event/cn/shotaikoshu/

一日体験の詳細・お申し込みはこちら!
https://www.jasmec.co.jp/toshin/event/taiken/

★Instagramやっています★
フォローお願いします👇
https://www.instagram.com/honshin_premium/

<鎌取駅南口校 校舎紹介ページ>
http://www.jasmec.co.jp/koushaguide/pk.htm
校舎紹介動画!YouTube公開中👇
https://youtu.be/JRUQDrQOE5U
=======================