Shingaku Express / 誉田進学塾だより 巻頭言より
(2023年02月号)
受験は団体戦!
コロナ禍の第8波が見通せない(1/12現在)。今年も、毎年恒例のこのタイトルを書くときとなったが、コロナ禍に触れる書き出しは3年連続となった。思えば、今年の受験生たちは、3年間をコロナ禍とともに過ごしてきた。機会を失ってしまった行事なども少なくなかったはずだ。そのまま次のステージに進む。若き日の体験は、そのときその瞬間だけのもの。せめてこのコロナ禍での、いわば特殊な体験が逆に将来に生きてくるように願う。そのためにも、この受験の本番で持てる力を出し切れるように、最後まで「心」の指導に最大限に努力します。
受験では「心」が大切だ。「志」と「心のコントロール」の両面が必要だろう。一発勝負の本番で、持てる力を発揮するためには、いわゆるメタ認知による心のコントロールが必要となる。一段高い所から状況を判断する能力である。例えば、閃かずに詰まったとき、待てよと問題文を読み直そうと判断したり、上がっているときでも、自分は上がっているなと観察したりできれば、追い込まれていても力は発揮できる。
その力を伸ばすのは、修羅場を経験することが一番であろう。ただし、ただ経験するだけでは成長できない。極限状態の自分の心をモニタリングし、改善点を具体的に見出しフィードバックすることによって力は驚異的に伸びる。もちろんその課題点に対しての具体的対策を繰り返して次の本番に臨む必要があるのは言うまでもない。
塾では長い間ともに切磋琢磨してきた仲間たちと、ラストスパートで実戦に取り組む時間を多く過ごす。それは、お互いに比較することで課題を見出すためだけではない。同じように勉強してきた仲間たちの頑張る姿が、自分の力になる。そして自分の努力が周りの力になると信じ頑張る力を生み出す。だからこそ、逃げずに受験に立ち向かい続けてほしい。
チャレンジする心を育てることこそが、次のステージを切り拓く力になるはずだ。
※この内容は2023/02塾だよりに掲載したものです。
WBC準決勝、決勝の息詰まるとき、そして歓喜の瞬間。スポーツの世界では「団体戦」の意義が目に見える形でよくわかる。もちろんそれは超一流の選手たちの厳しい鍛錬の末での、わずかな差が大きな結果を分ける凌ぎ合いが見えるからだからこそであろう。
それに対し、一般には受験は個人の競争と捉えられがちである。確かに個人の能力と努力の高低を競い結果が決まるように感じられる。しかしその見方にとらわれていると長期的には力を発揮しにくくなるのではないだろうか。
周りよりも少しでも勝てばよい、さらには人を蹴落としてでも自分だけが生き残ればよいという利己的な考えに陥りやすい。そのような勝ち負けに拘る考えでは、短期的な成果を求めてしまい、却って長期的な大きな成長を得にくくしてしまう。
そもそも受験自体は目的ではないはずだ。将来に向けて、自分の力を成長させるための大きな機会のはずである。自分の課題を真正面から正しくとらえ、逃げずに鍛錬に立ち向かう。切磋琢磨とは他人と競うことではなく、仲間と刺激し合いながら、厳しく自分を律し、自己と闘うものであろう。
これまで、そのような『磁場』の力が、飛躍的な成長を引き起こす場面をたくさん見てきた。
さらに、強い『磁場』に導くようにしていきたい。