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2025年新年度に向けて


学びの楽しさを大切に!

 私たち誉田進学塾グループは、「学びの楽しさ」を大切にしてきました。

 未知なるものに出会ったときのときめき、深く考えてわかった瞬間の快感、試行錯誤した末に閃いた興奮は、他のものからは得ることができません。
「知」の刺激から生まれる「感動」こそ「学びの楽しさ」の本質です。この楽しさが、さらなる未知を求める原動力を生み、自ら思考し挑戦する経験を続けることで「解決力」を鍛え伸ばすと信じています。

いよいよ新課程の大学入学共通テストが実施されます。すでに中学入試、高校入試にも影響が波及し、単なる知識の量ではなく、思考力・判断力へと、入試で問う学力の質が変化してきました。
 常に変化し予測が困難な不確実な未来を生きていく子供たちにとって、答えのわからないものに立ち向かう「解決力」が重要であることは間違いありません。

 しかしながら、受験を目の前にすると、短期的成果のために知識を詰め込み、安直な対策を訓練することが勉強だ、という思い込みに囚われがちになります。結果として子供たちに、勉強は我慢して乗り越えるものと捉えさせ追い込んではいないでしょうか。もちろん若き日の、自らに試練を与えて鍛え努力する体験は大切ですが、それだけならば勉強以外でもできるはずです。勉強は単なる難行苦行ではありません。子供たちに伝えるべきものは、勉強の本質的な魅力です。

 私たちは、勉強からしか得られない「学びの楽しさ」を大切にします。小中高一貫指導体制で、知識の本質的な理解に基づいて思考力・判断力を伸ばすことで、知的好奇心を引き出し、学ぶ楽しさを育てます。同時に、受験での「合格力」に拘るという両極端を並立する困難な道に挑戦します。

 「真の意味での英才教育」を目指し、子供たちが自らの力で未来を切り拓くことができるよう、保護者の皆様とともに育てます。ひとり一人の子供たちを育て伸ばすことに責任をもち、教育の真の使命を通じて、地域の未来に貢献します。

 誉田進学塾グループにご期待ください。 

東進志田先生の参考書

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東進衛星予備校の志田晶先生の参考書最新刊
「数学Ⅲの点数が面白いほどとれる本」
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バタバタしていて、数日経ってしまったが、改めてパラパラとめくってみて、とりあえず一番最後が一番難しいだろうと、解いてみた。
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あれ?!
やけに、あっさり?!
微分方程式だったので、大学で勉強させられたから、さすがに初歩の初歩だった。

受験生には国公立二次対策、私大入試対策で基礎をしっかり固める参考書!
楽しく解いて、飛躍しよう!

巻頭言2024/08より] 今しかできないこと

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Shingaku Express / 誉田進学塾だより 巻頭言より
(2024年8月号)

今しかできないこと

 ちょうど、夏期講習前半の追い込みの時期であろう。これを書いているのは夏期講習前の時期。夏期講習中は、スタッフ全員が朝から夜まで生徒の対応に全力を尽くす。その前のG.W.明けから7月前半までは、夏だけでなく、1年間の指導に必要なものを準備する仕込みの期間。加えて、スタッフたちは研修に力を入れている。

 また例年6,7月は、全国同業他社との研修や情報交換の時間でもある。コロナ禍が落ち着いてきた昨年からは他塾との訪問交流も少しずつ再開した。今年は、中部地方のいくつかの塾を訪問する機会があった。その一つでは、同じ東進衛星予備校を運営する県単位のトップの塾に、若手も含め数名を同行し、校舎の生徒対応の様子を見学だけでなく、幹部や現場のスタッフの皆様と、意見交換、情報交換の時間をたくさんとっていただいた。このように実際に行って感じること、そして双方からの積極的な意見交換は、参加した双方に大いに刺激を与える。自分の目で直接見て、直に感じることが重要だ。そして、同時に自分で考えることが成長の原動力になる。いつもと異なる環境と体験が、新たな思考、発想を生むと改めて感じた。

 受験生は、日々の受験勉強に集中する時期だろう。苦しいと感じることも少なくはないだろうが、捉え方を変え、今しかできない二度とない特別の時間と思って、充実して過ごしてほしい。受験学年でない塾生たちには、ぜひ、その年齢としての夏休みにしかできない様々な体験をする機会があればと願う。そしてできれば、それが知的な体験で、知的興味を生み出し、知的好奇心を育てるものであってほしい。

 ある甲信越地域で、通りがかった見ず知らずの塾の看板に「勉強は青春だ」と大書してあった。知的好奇心を持ち、前向きな気持ちで挑戦すれば、勉強に打ち込むことは、楽しく充実した特別な時間となるはずだ。勉強することは、学問の探求に続く道であり、ただ我慢して乗り越える難行苦行の修行ではないと信じる。
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※この内容は2024/8塾だよりに掲載したものです。
 本文にあるとおり、昨年あたりから訪問交流を少しずつ元に戻して、活発化してきている。夏明けにも、別の中部地方の他塾訪問を実施した。この他塾訪問はコロナ禍前までは頻繁に交流していて、社員合宿を兼ねて全社員での見学会も毎年実施していた。貸し切り大型バスを仕立てたり、新幹線の利用も。さすがにこちらの人数が増え過ぎて受け入れ先がなくなったので断念。
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 もともと、うちの塾に来訪いただくことは歓迎しているので、そちらも、これまでにたくさんの皆様に来ていただいた。
 どちらも必ずたくさんの気づきがある。校舎の様子を一目見ただけでも、その感触の違いにピンとくることが少なくない。さらに質疑応答・意見交換を通して、さまざまな気づきが得られる。大切なのは、この「気づき」。学んだものをそのまま真似してうまくいくことはほとんどない。まず、その本質を正しく理解して、その上で自分たちにどう工夫できるかを考えていくことで学びの進化が生まれる。
 自分の内側にないものを、新しく自分に適合させて取り込み、応用していくことこそ、学びの本質であろう。常に新しい外的な刺激は欠かせない。
 どんな年代でも「勉強は青春だ」!

全国模擬授業大会 in 名古屋

全国模擬授業大会 in 名古屋の見学に行ってきました。

全国の塾の先生たちが、決められた時間内に授業を実演してその腕を競う大会
うちの塾とは授業に対する考え方が違うので出場はしていないが、審査や見学で参加。
今回は見学のみ。

会場は私立中高の校舎
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開会式では、選手宣誓から始まります
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午前は科目別ブロック予選
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午後はセミファイナルの科目別ブロック決勝
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続いてファイナルは科目別チャンピオンたちによる決勝戦
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丸一日を使っての競技会
その熱気を持ち帰りました!

[巻頭言2024/07より] 新しい挑戦へ

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Shingaku Express / 誉田進学塾だより 巻頭言より
(2024年7月号)

新しい挑戦へ

 先月に続いて、東進衛星予備校全国大会からの話題。今回、実践報告を発表することになった評価を受けたのは、うちの校舎が3年連続で全加盟校約1000校の中の1位をとった12月1日継続部門の最優秀表彰。東進では新年度の学年の学習が12月からスタートする。とくに高校2年生は、自分たちが共通テストを受験する1年前の冬休み前にあたり、早期に受験生として自覚して勉強を始める重要なきっかけになる。もちろん、翌年度に学習する講座を、12月前にまとめてとるということは、生徒や保護者と十分な信頼関係を保っていることにほかならない。私たちはこの「数字」を顧客満足度を表す重要な「指標」と考えている。

 日々の仕事は「数字」を指標として捉え、正しく追いかけることが重要だ。適正な数字の結果が得られないということは、何か原因となるプロセスの中の課題点があるはずである。それを数字に基づいて、きちんと見つけ出して改善することで質が上がる。私たちは、そういう意味での「経営品質」というものにこだわっている。

 もちろん、そうは言っても多くのスタッフたちがチームで仕事をしていく中で、高い経営品質を保つのは非常に難しい。ときどき、厳しいお叱りの声をいただくこともある。だが、それはより高い経営品質に向かうための貴重なチャンスと考える。厳しい目で評価することが課題を明確化し改善を促すはずだ(もし何か気になる点が少しでもあるなら、遠慮は無用、ぜひお聞かせいただければと思います)。

 これは生徒たちが模試の項目別の細かい結果で、課題点を見出すことと同じであろう。課題が明確でない努力は非常に効率が悪い。稀に、実力がついてきたらと模試を尻込みする生徒がいるが、まずは「数字を診る」だ。現実を見て未来を創ろう。

 7月から、東進衛星予備校の佐倉と蘇我が誉田進学塾グループに仲間入りすることになりました。今まで以上に一人ひとりへの高い経営品質の提供を目指します。
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※この内容は2024/7塾だよりに掲載したものです。
 本文の通り、7月から東進衛星予備校2校がグループインした。他の母体が運営していた古くからの校舎。その母体の経営統廃合で閉鎖する予定の校舎のうち、私たちのエリアの2校の運営を引き継いだ。急な話で、実質1か月余りでの準備で、なんとか通っている塾生のみなさんに迷惑をかけずにリスタートできた。
 準備は、年度計画にないものだったが、今まで蓄積した開校手順に従って、比較的スムーズにできた。一番は「人」の問題のはずだが、今回は、社員の引継ぎはなく今までの人たちは前の会社が全部引き上げて、私たちの社員が担当する形なので、予定外だったこと以外は、問題がない。
 これまでの私たちの運営力を東進本部が評価しての今回の話、その要請にこたえられるように努力する。私たちの運営は、経営品質を高く維持し、顧客満足を高めて成果につなげていくスタイルなので、少々時間がかかるが地道に努力していくつもりだ。

 東進衛星予備校京成佐倉校改め佐倉校、および蘇我駅東口校改め蘇我校、よろしくお願いします。
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[巻頭言2024/06より] 楽しく学ぶではなく、学ぶこと自体が楽しいに

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Shingaku Express / 誉田進学塾だより 巻頭言より
(2024年6月号)

楽しく学ぶではなく、学ぶこと自体が楽しいに

 毎年恒例の東進衛星予備校全国大会に参加した。加盟校1000校余りから各部門で優秀な成績を上げた校舎が招待されるもの。最優秀・優秀合わせ9名の表彰招待をいただいた。最優秀事例発表も壇上でさせていただいたので、最後の懇親会では、多くの全国の皆様と情報交換ができた。塾生たちの頑張りの成果と感謝します。

 さて、その中で出た話題から一つ。たくさんの生徒がいれば、当然、初めから高い得点の生徒とそうでない生徒がいる。そうでない生徒の学力をどう伸ばすか、という課題だ。いろいろな意見があるのを、極論を承知で大きく括ってしまうと、高校生の場合、多くは勉強に対する「型」ができていないということになるだろう。

 学力を向上させるには、この「型」を作るという基礎が大切である。だが、それが逆にブレーキとなってしまうことが少なくない。なぜなら、重要なことは「型」ではなく、脳に適切な負荷をかける「型」を作ることだからだ。

 例えば、暗記するとき、じっと見て覚えるinput型の学習は非常に効率が悪い。だから書いて覚えるという、負荷を要求する「型」を作ろうとする。型を作ることは、習慣化を意味するので、適切な指導者でないと型の強制になってしまう。早期の結果を求めた無理な躾けは、脳が、書くことに対して負荷が少なくなるように頭を使わない方向に習慣化してしまう。高校生からこれを修正するのは難しい。

 やはり小中学生の初期に身につけるのが理想だ。ただし、前提として、自ら求め負荷をかける「心」にしなければできるようにならないのだが、どうやら適切な指導者でないと、短絡的に「心の指導」とし、型にはめようとしてしまうようだ。

 とくに初期段階で大切なのは、学ぶことを楽しいと感じる子に育てること。ただ授業が楽しいでなく、学ぶことが楽しい、難しくてもわかってできるまで学び続けることが楽しい。そんな指導ができる指導者を育てるよう研修に力を入れます。
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※この内容は2024/6塾だよりに掲載したものです。
 自分から進んで「脳に負荷をかける」トレーニングを選択するように育てるにはどうしたらよいか、繰り返されるテーマであろう。
当然、年齢、成長の段階によって異なる対応が必要になる。適切な年齢で適切な育て方をしていないまま間違った癖がつくと、後から治すことはより困難になる。高校生になってから修正できる要素は多くはなく、労力は非常に大きい。
 本文では、「心」の指導と書いているが、その要因は多岐にわたりすぎて、最適解を簡単に探すことはできない。試行錯誤の日々である。
 それでも、本文冒頭に書いた通り、私たちの大学受験部は好結果を、一定の数値としてあげるようになってきている。経営品質、再現性という観点でチャレンジしてきたからだ。
 まだまだ考えている理想には程遠いが、この表彰を糧に挑戦を続けていきたい。

(業界誌に、当日の簡易レポート記事があります)
http://www.randomwalk.jp/kan/

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(写真は当日のリハーサルの様子)

[巻頭言2024/09より] お手本

Shingaku Express / 誉田進学塾だより 巻頭言より
(2024年9月号)

お手本

 先日、ある座談会に参加した。業界誌の企画で、大学入試の変化にどう対応するかというお題での意見交換。話題の総合型選抜や新課程での共通テスト、情報I入試などへの変化、さらにこれから先の大学の変化、それらに対して、塾・予備校はどうすべきかという限りなく幅の広いテーマで、話をまとめての結論というより、現状と考えられる問題を並べて提起した形で終わった。

 さて、その終盤、変化への対応として、さらにオンラインやICTなどが進んでいったときに、そもそも塾・予備校の講師がすべきことは何なのかという話が出た。その場では深くは議論せずだったが、少々気になったので、整理しておこう。

 すでに現状でも、授業の「教える」部分、インプット中心のティーチングは、映像授業などに置き換えることが可能になってきている。それに対して、アウトプットが必要な、いわゆるコーチングと呼ばれている部分は、人間の先生しかできないだろう、というのがこれまでの認識だろうか。しかし、最近のAI技術の革新によって、この境界が不明確な捉え方のままでは語ることができなくなった。すでに学習成果を細かく分析し、どの部分を伸ばすのが最適か、それにはどんな勉強をすればよいかという指導に対してAI技術の導入が進められている。早晩、進路指導や受験校選択への応用にも進んでいくに違いない。すると、コーチングのやる気を引き出すコミュニケーションが残ると予想する人が多いが、この部分もAIの進化で実現する可能性すらあると考える。では、指導者しかできないことは何が残るのか。

 その一つの答は、勉強を楽しむ姿を身をもって伝えること、楽しいとはどういうことなのかを、お手本となるほど、見せて伝えることではないかと考える。「気持ち」は、人からしか伝えられない。心は、人からしか共鳴できない。学ぶことが楽しいことを、自らの姿で伝えていくのは、子供に対する大人の役目だ。

※この内容は2024/9塾だよりに掲載したものです。
 今年は、この座談会だけでなく、講演や取材などでお声がかかることが少なくない。たまたまのめぐり合わせであろう。その中には、非常に珍しい役回りとして、ある会での講演者の方に「講演後の懇親会で質問役として登壇して、インタビュー時間長めにとったので、オフレコだから存分に突っ込んでほしい」というものまであった。
 それらのおかげで、塾・予備校業界の方たちにお会いする機会で、久しぶりなのに、向こうは、最近会っている気になっていた、というのが幾たびかあった。ありがたいことである。
 座談会は、実は少し気が楽だ。講演のときは、当然十分に準備をする。基本的にスライドを使うので、事前だけでなく、当日の会場での準備も。インタビュー取材のときは、油断すると脱線して骨子が寄れてしまうので、テーマを事前に確認した上で、必ずメモを用意する。一番しびれるのは、入試当日のテレビ生解説。いつも最後の出番で、終わる時刻は絶対にはみ出せない。出番が回ってくるまで使える時間が確定しない中の、秒単位となる。
 今回の座談会は、テーマが明確なので、それなりに準備した。情報Iのサンプル問題も研究し直して臨んだが、記事となって読み直すと、ちょっと無難過ぎだったか…。

記事はこちらで読むことができます⇒ http://www.randomwalk.jp/kan/

東進志田晶先生の特別公開授業開催

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昨夜は、東進衛星数学科の志田晶先生をお招きして特別公開授業を、誉田進学塾premium高校部東進衛星予備校佐倉校で開催しました!

東進佐倉校は、この7月1日から、誉田進学塾グループの運営となりました。校舎名も京成佐倉校から佐倉校と改め、受講用の機材を全て新しくして、さらに気持ちも一新! のスタートを切っています。

その新しいキックオフイベントとして、今回の志田先生の特別公開授業を、高2生、高1生対象に開催しました。
内容も、スバリ「共通テスト対策」に焦点を当てていただき、単なる穴埋めテスト対策の繰り返し練習ではなく、本物の数学を勉強しようと、みんなで数学を楽しみました。

佐倉校は、京成佐倉駅のすぐそばの校舎で、佐倉高校の生徒の通学路の横にあり、佐倉高校の生徒がたくさん通っています。
千葉県随一の伝統の佐倉高校の生徒さんたちが、充実した高校生活が送れるように、学習をサポートしていきます!

ご期待ください!
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[巻頭言2024/05より] 適切な負荷

Shingaku Express / 誉田進学塾だより 巻頭言より
(2024年5月号)

適切な負荷

 G.W.明け、いわゆる「五月病」のシーズンである。4月に新年度になり、新しい環境への適応に対するストレスが溜まっていく。1か月たち、G.W.の連休で一旦そのストレスがかからなくなり、G.W.明けに、再び元のストレスがかかる状態に戻るときに、悲観的にものごとを捉え、意欲がわかず行動にブレーキがかかる症状。ひどく進むと不登校にまで発展する。ストレスの蓄積がある閾値を超えてしまうことで発症するのだろうか。症状が出てしまうと戻すのは非常に難しく、最後はストレスを一旦全て取り除くなどするが、できるだけ早く専門医などに任せるのがよい。

 発症前の予防策ならば、一般にストレスを溜めないこととされている。新しい環境に順応していくためには、そのストレスを取り除いてしまうわけにはいかないので、溜めないように発散を促す行動のいくつかが推奨されている。

 しかしながら、ストレスは本人の捉え方次第で影響は大きく変わるはずだ。新しい環境への適応とは、従来の自分の習慣を変えることを要求されることに他ならない。習慣を変えるには、脳に対して負荷をかける必要がある。その負荷を心がマイナスと捉えていることから問題が生じる。この負荷は自分にとって必要なものと前向きに捉えることができれば、マイナスの心を生じにくくなる。だから、周りの「頑張れ」という声掛けは禁物。「大丈夫だよ」と声をお掛けいただきたい。

 そもそも勉強、すなわち新しいことを学習するためには、脳に適度な負荷がかかる状態が必要だ。これは習慣を変えることと本質は同等なもの。いやだと思いながら、我慢している状態では、マイナスの負担となり行動が抑制される。脳は負荷を逃がそうと形だけの「学習」もどきに逃げがちだ。脳に適切な負荷をかけて、脳を素早く効果的に適応させることが、学習の成果をうむ。前向きに積極的に、適度な負荷をかけることを掴んでほしい。周りはそれまで「大丈夫」と言い続けよう。

※この内容は2024/5塾だよりに掲載したものです。
 「大丈夫だよ」の話は、2つ前に書いた内容に繋がっている。
 学習には、脳に負荷をかけることが不可欠だ。
 それは、本人の捉え方がカギとなる。脳への負担につながるので、そのまま、いやなもの、やらなければいけないもの、という否定語で捉えてしまうと、行動にブレーキがかかる。効果を上げるには、自分から求めるもの、やりたいこと、という肯定的な好きなものの延長に位置して、自ら負荷をかけることを選択する状態にすることだ。
 と、書くだけなら簡単である。実際には、その状態に本人が考え自ら選ぶようにすることは容易ではない。とくにすでにマイナスの状態になってから戻すことは非常に難しい。難しい状態になってしまってからは、一度すべての負荷を取り除きリセットするしかないことが少なくない。
 いわゆる五月病や、登校拒否などの、行動にブレーキがかかる状況が発露するよりずっと前に、根から改善するしかない。本人の考え方、捉え方は、直接変えることは難しいので、間接的なコミュニケーションによって少しずつ向きを変えていく。自分なりに、負荷を加減して、かけても乗り越えられるという自信の範囲で、行動し達成することで自信を伸ばすことだろう。
 「なんだ、簡単だ」と捉えられるように、前向きな考え方を引き出すような、言葉のかけ方と聴き方を工夫していただきたい。
 理解し共感しなければ、プラスの共鳴はおきない。

[巻頭言2024/04より] デジタル教科書化元年

Shingaku Express / 誉田進学塾だより 巻頭言より
(2024年4月号)

デジタル教科書化元年

 学校では新年度、進学進級の区切りの月である。環境が大きく変化する生徒も少なくないだろう。早く慣れて、力を発揮してほしいと誰もが願うところだ。

 先日、機会を得てOECD Japan開催の「PISA2022」セミナーにオンライン参加した。PISAとはOECDが実施する81か国・地域69万人の生徒参加の国際学習到達度比較調査(Programme for International Student Assessment)で、昨年末マスコミ等が、2022年の結果で日本が実施3分野(数学的リテラシー、読解力、科学的リテラシー)すべてでトップクラスと報道したので、皆様もすでにご承知のことと思う。

 コロナ禍でOECD平均が低下する中、日本は上昇した。その原因は、休校期間の短さ、学習指導要領改訂、ICTの環境整備と習熟などが報告された。さらに今回は数学的リテラシーが集中分析テーマで要因分析の報告もあった。結果がトップかではなく、比較対照によって課題点をみつけ、今後の改善に向かうことが大切なはずだ。
気になった要因分析として、日本の学校では授業でのデジタルリソースの利用時間が最下位レベルだが、数学の授業でのデジタルリソース利用に対して注意散漫になる割合の低さでは、圧倒的1位という結果。また、デジタルリソース利用と成績の関係では、長時間になるほど点数は低下するという逆相関だが、まったく利用がないよりは1時間未満の利用の方が高得点という国際的な結果だった。

 さて、いよいよ今年、文科省主導の下、小5から中3の英語でデジタル教科書化がされる(他の教科も段階的に予定)。確かに、英語では音声や検索で有効だろう。また探求型学習や情報では利用は欠かせない。今のところ、親子とも期待が多いとの調査もあるが、いざ導入となれば、反対意見、慎重論も多数出るに違いない。
もはや、どちらが良いかではなく、どう有効に活用していくかが問われる。私たちも、やや保守的に構えはするが、実証が伴うものは積極的に挑戦するつもりだ。

※この内容は2024/4塾だよりに掲載したものです。
 このOECD Japan「PISA2022」セミナーは、今回は、中心分析のテーマが数学的リテラシーということで、たまたま紹介を受けてオンラインで参加した。そこで報告された内容は、非常に興味深く、上記に触れた点以外にもたくさんの気づきを得た。
 詳細資料は、現在公開されているので、直接参照いただければと思う。
https://www.mext.go.jp/a_menu/kokusai/oecd/1419662_00005.htm

 このような調査結果を踏まえて、今後の教育の方向性を考えていくことが重要だが、これまでの日本の教育では、きちんとエビデンスを踏まえて施策がされてきたとはいえない。デジタル教科書化のみならず、ICT、DX化も、先に結論ありきで、都合の良い部分だけ調査結果をつまみ食いするようなことがないことを祈る。
 日本の公教育では、部分的限定的でも、比較対照実験を試みることは、感情的な不公平感を生みやすく、容易ではない。国際調査結果を正しく読み解くことは重要だ。

 このデータを基にしたテーマで、民間教育大賞授賞式記念のパネルディスカッションにパネラーとして登壇した(概要は以下に公開中です)。
http://www.juku-kyoiku.com/contents/pdf/minkan/2023/03.pdf

 学士会館は、今年いっぱいで、再開発事業で改築の予定とのこと。帝国大学所縁の電灯ある建物で登壇できたことに感謝。
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