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[巻頭言2024/11より] 一隅

Shingaku Express / 誉田進学塾だより 巻頭言より
(2024年11月号)

一隅

 先日、ある私学の先生方との情報交換の会に出席した。広報の先生だけでなく、校長先生・副校長先生・教頭先生などにお会いできる貴重な機会。例年、いくつか定期的に参加しているのだが、重要な入試情報や学校での新たな取り組みなどは、日頃から直接取材したり、ご案内いただいたりしているので、だいたいわかっている。こういう会では、それに対してどう捉え、考えているかの微妙なニュアンスを直接お聴きして判断できる点が他にないところで、大切な機会である。

 さらに少々アルコールが入る懇親会ともなれば、ときには日頃の本音なども漏れることもある。今回もそのような流れで、最近教員の志望者が急激に減っていて大変だという話題になった。採る側の立場の方たちだから実感する話だろう。

 公立学校の教員採用試験の倍率が全国的に大きく低下している問題は、マスコミ報道などで読者の皆さまもご存知のことと思う。教育学部や教員養成系の学生たちの多くが学校の職場は「ブラック」と考えるようになり、志望者が大きく減っている。学習指導以外の雑務の多さや、部活での残業の長時間化、さらに休日がなくなるなどの問題が指摘されていて、「定額働かせ放題」「サブスク残業」などの報道もあり、少しは是正の動きにはなってきたが、根本要因は先送りというところか。

 人口減少問題や少子化問題も絡むと複雑化するが、「教育に投資する」ことに「大きな利得がある」ことは、様々な実証実験で個人のレベルでは証明済みだ。社会レベルでも同様か、さらにより大きな価値があることは確実に証明できるだろう。

 ここで大上段に意見を振りかざすつもりではない。私たちにできることは目の前の「一隅を照らす」ことだけ。子供たちに「学問は素晴らしい」ということを「継承していく」ことがどれだけやりがいがあり、人生を充実させることであるかを、縁あって集った社員たちと実現することしかない。酔い覚めしつつの帰路の想い。

※この内容は2024/11塾だよりに掲載したものです。
 就活の際に、教育を目指す学生が減っている。待遇や将来性という、いわば功利的な側面からの評価が低いことが原因であろうか。昨今の学校事情などの報道が低評価に繋がっているのだろう。
 しかしながら学生が最も身近に感じる民間教育の場は塾だ。生徒時代の通塾経験率も高い。学生アルバイトの職場としても、塾、予備校は昔から定番だったはずだ。その塾、予備校のアルバイトの経験が、教育という仕事の価値を下げている可能性もある。体験からくる実感の評価の影響は大きい。単純に他者のせいするだけにはいくまい。まずは自らを省みて襟を正するべきだろう。
 教育という仕事は、時代を超えた普遍的な価値があるはずだ。また現場でのやりがいという点では、他の仕事に比して優るものはたくさんあり、劣るものは少ないと考える。だが、それを今ここで議論しても意味がない。目の前の塾生たち一人ひとりのために、高い志をもつ社員たちが、やりがいを感じならが、明るく前向きに仕事に取り組めるように、働き甲斐と働きやすさを両立させることを頑張るだけだ。
 幸い、すでに志の高い社員がたくさん集い、さらにまた集まってきている。目の前のことに集中しよう。