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[巻頭言2023/08より] どの山に登るのか?!

Shingaku Express / 誉田進学塾だより 巻頭言より
(2023年08月号)

どの山に登るのか?!

 目標は先に決める。これがものごとを成就させる第二歩目。

 その前の一歩目は、目的意義。つまり、それを「何のために」するのか。これを明確にするのが最初に重要。次は、目標を具体的に「決める」ことである。この目標を正しく決める能力、即ち「目標設定力」がそのあとの行動と成果に密接な関係があることは、ここで何度か書いた(目標は高くなければいなけないが、高過ぎてもいけない。
https://www.jasmec.co.jp/cgi-bin/blog-diary-kanopen0/blog-diary-kanopen0.cgi?no=647

 さて、今回は、先に決めるのはなぜかという話。それはよく「どの山に登るのか?」と例えられる。観光地の山を軽くハイキングするのか、富士登山か、ヒマラヤ最高峰への挑戦なのかでは当然、準備しなければならない装備が異なってくる。どこに向かうのかゴールを先に決めて、そのために必要な準備をしなければゴールには達しない。毎日歩き続けていると、ある日、気がついたら南極点に到達していた、にはならないのだ。先にゴールを決めてから、どうやったらそこに届くかを考えながら行動し続けなければ、ゴールに達することはない。決めることから始まる。

 受験生は(もしまだなら)、自らの強い決断で志望校を先に決めてほしい。なんとかギリギリ届くかもしれないと信じられる上限(根拠は重要ではない)の高いところを、自分の強い意志で決断する。そしてそれに向けての準備に最善を尽くす。ただし、自己選択感がカギ。保護者を含め周りは、決断まで我慢しなければならない。
もちろん、必ずしも挑戦が成就できるとは限らない。が、それでよい。届いた処から、さらに挑戦をやめなければ、きっと同じような高みに到達できると信じる。

(2023年春に卒塾した高校受験生たちの、後に続く後輩たちのために書き記した挑戦へのメッセージの一部を公開しています。ぜひご覧ください。)

天王山を超えろ! (夏)版
https://www.jasmec.co.jp/gokaku/gokakusha/gokakusha-2023-2.htm
桜咲く(春)版
https://www.jasmec.co.jp/gokaku/gokakusha/gokakusha-2023-1.htm

※この内容は2023/08塾だよりに掲載したものです。

 「どの山に登るのか」を先に決めよ、というのはよく引用される話だ。
 ゴールを先に決めてから、そこに立つまでに必要なものをリストアップして準備する。行動によって成果を上げるためには、現状とゴールのギャップを測り、ゴールから逆算して、必要な行動計画を立てることは必須条件だ。ゴールを客観的に見ずに、現状からできそうなことだけを、そのときの気分で進めているのでは、望むゴールには達しない。非常に当たり前のことのはずだが、現実に直面しているときは、そこまで自分を客観的に見ることは難しい。
 受験では、その手がかりになるものが模擬試験であろう。志望校合格に向けて、現状から何をあとどのくらい頑張ればよいのかを分析する大切なツールとなる。視点を時間軸の中で正しく意識して、現在と未来のギャップを測っている数値であることを理解していれば、とても有効なツールのはずだ。
 しかし、多くの受験生たちは、志望校判定の結果ばかりにとらわれ過ぎて、一喜一憂してしまいがちだ。模試の結果は、自分のもともと持っている「固有の」能力の評価ではない。能力は固定した決まったものではない。入試で問われている能力は、努力によって変化する。つまり未来の結果は、現在の努力によって可変である。
それを信じて、今、立ち向かうべき課題を乗り越えていってほしい。

[巻頭言2023/09より] 言うは易く行うは難し

Shingaku Express / 誉田進学塾だより 巻頭言より
(2023年09月号)

言うは易く行うは難し

 今日、盛岡からの帰路車中で考えたこと。

 「私学・私塾教育ひとすじに歩まれた」東北の故理事長を偲ぶ「感謝の会」に参列した。進学塾から出発した学校法人の2代目として、高校の一教諭からスタートされ、私立高校・附属中学校、多数の各種専門学校、幼児教育、日本語教育、国際人財教育、予備校、そして最後は大学までの総合専門教育グループを大きく展開された方。多方面から多くの方が集まり、故人の「楽しく」の言葉通りの会だった。

 帰路で拝読した冊子には、机上に残された絶筆として「熱意、誠意、思いやり、挑戦」「創意工夫」「謙虚さ」「寛容」の手書きメモが掲載されていた。最後の2つについては、それぞれに対する考えの添え書きも。要介護区分が進んでの、亡くなられる数日前まで執務室に向かわれていたとのこと。詰まる思いを感じる。

 これらの言葉は、どれも、よく使われる「良い」言葉であり、誰しもが大切なことだとわかっているものだ。だがそれは、わかっているつもりでも、常にそうあるか、できているか、と問われれば難しい。凡人には、常に言語化して問いを発し続けなければ、実現はできないのではないだろうか。

 大人はそれを、子供に対して、つい強く要求してしまいがちになる。言うだけなら簡単なのだ。しかし強く言い続けることでは、子供の考えを変えることは難しい。自ら気づき欲しなければ本質は変わらない。だからこそ、子供たちに要求するのではなく、自らの行いを振り返り、問い続けることから始めなければならないはずだ。
故理事長は、若き日に取り組んだ格闘系武道からくる脅威による教育を悔い続けていたそうだ。苦労し老成されてからの柔和な表情しか知らずだったので、そのエピソードは少々の驚きとともに聞いた。座右の銘は「感謝に勝る能力なし」で、生かされていることへの感謝を忘れることはできないと結ばれていた。ご縁に感謝。

※この内容は2023/09塾だよりに掲載したものです。

 公式の「お別れの会」が午前中に行われたあと、縁のあった方々への「感謝の会」として開催された。数度しか接点はなかったのだが、ご案内をいただいき参列した。本文の通り、冒頭に「楽しく」との故人のお言葉の紹介があり、その通りの会となった。
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 何年か前に開催された塾業界の勉強会で、訪問見学させていただいたことを思い出す。私立高校・附属中学校の見学だけでなく、多種の複数の専門学校を、直に見学した。専門学校の現場を見ることはめったいないので、とくに興味深かった。東北北部3県の人口で、他の地域では、この規模でいろいろな専門学校を維持することは無理だと紹介されていたが、なるほどと思う内容だった。
 しかし、一番感銘を受けたのは、ご講演の中で触れていた、出発点の塾として創業した先代の志、そしてご自身が、引き継がれたときの気持ちであった。

(そのとき見せていただいた創業時の看板)
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 改めて、感謝とともに、ご冥福をお祈りいたします。

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[巻頭言2015/05より] ゾーン

Shingaku Express / 誉田進学塾だより 巻頭言より
(2015年05月号)

ゾーン

 難関中学高校受験研究会の林成之先生のご講演に、たくさんの保護者の皆様にご参加いただきありがとうございました。オリンピックチームへの脳科学に基づいた指導のお話はいかがでしたでしょうか。

 最後の、北島康介選手の「チョー気持ちいい」が、最後の10mでゾーンに入ったからだという話は、勉強で成果を上げる子供たちとよく一致する話だったのではないだろうか。最後まで頑張り成果を上げる子供たちは、勉強を目的のために我慢する苦痛と思っていない。勉強して達成することを、心地よいゾーンの中にとらえている。好きだからやり続けて、その結果、わかることやできることで、達成感を得る。達成感を得るから好きになる、というプラスのループの中で行動している。「好きこそものの上手なれ」の典型だ。

 子どもの時ほど、周りの環境が大切。その環境をリードするのは大人。よき手本となるように大人が努力を楽しむ姿を見せることが一番だ。

 以前に、子供の成績に影響する家庭の要素は何かを調査した結果があったが、親が本を読む、本が家庭にたくさんある、新聞を親が読む、ニュースを親がよく見るなどは、成績に対して密接なプラスの関係があった。逆に、週刊誌・雑誌を読む、テレビドラマやワイドショーを親が見る、は負の相関があった。

 まず親自身が知的な体験を大切にする心が重要。子どもに、あれこれ指示を口にする前に、まずは親自身が自らの学びで「チョー気持ちいい」と言おう。

 難関高校受験研究会AP、そして難関大学受験研究会受験生Programが始まります。ぜひご参加ください。

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※この内容は2015/05塾だよりに掲載したものです。

 毎年の恒例だった難関中学高校受験研究会での講演に、世界的脳外科医の林成之先生に来ていただいたときの話である。少々古い話にはなったが、水泳の北島康介選手がオリンピック2大会連続2種目金メダルを取った北京大会のときに、平井伯昌代表コーチらの要請で、勝つための脳の戦略的使い方を指導された方だ。NHKのクローズアップ現代などマスコミでも多数とりあげられたのでご記憶の方も少なくないだろう。当日の講演内容はもちろんだが、例によって、楽屋での脳科学についての談義も大変興味深かった。五輪での内容についてご興味のある方は、ご本人の著書に詳しいので、ぜひそちらをお読みいただきたい。
 さて、ゾーンの話。スポーツの世界では、フローとも呼ばれているらしいが、トップアスリートが試合の瞬間に、自分の意識と、行動している自分が離れたように感じる特別の状態を指すという。このゾーンの実体験談は、同じオリンピック北京大会100m×4リレーでトラック競技日本人男子初のメダリストとなった朝原宣治さんの講演を聴いたことがある。スタートの合図で第一走者が走り始めた瞬間、それを見ている自分と、練習の通りルーティーンで動く自分との意識が離れ、ゴールして掲示板を確認しようとしたところで元に戻ったということだった。
 意図的にゾーンに入ることは、超一流選手でも難しいと言う。朝原さんは前のアトランタ大会で一旦引退を決意した後、再挑戦へそれまでの考え方を改めて、一発勝負にピークを合わせて力を出すという考えを捨て、練習のときから常にベストの記録を維持するコンディションを続け、決勝のときも同じ状態を再現するという考え方に行きついたと話されていた。
 勉強は、瞬発力ではなく、毎日の努力の積分値だ。瞬間的に集中力を発揮するゾーンとは少し異なるものかもしれない。だが、勉強中に集中しているときは、ゾーンの状態とよく似ている。ゾーンは、修行を積んだ僧が瞑想するときの脳の状態と似ていると言われているので共通するものが少なくないのだろう。
 集中力を高める緊張状態と同時にリラックスした状態になっているのがゾーンの特徴という。勉強でも、その状態になるいくつかの方法は経験的に知っているが、再現性は高くはない。意図的に、勉強でゾーンに入る方法を究めたい。

[巻頭言2015/04より] 誉め方

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Shingaku Express / 誉田進学塾だより 巻頭言より
(2015年04月号)

誉め方

 知己の脳科学者岩崎イチローさんによると、「誉め方」が影響を与えるという、ニューヨークでの実験結果があるそうだ。

 小学生に誰でも簡単に解くことができるパズルをさせて、誉める実験をする。そのとき、2つのグループに分けて、それぞれで誉め方を変える。片方のグループの子供たちは「頭がいいんだね」と誉める。もう1つのグループの子供たちは「よく努力したね」と誉める。そのあと、難しいテストと簡単なテストを生徒たちに選ばせたところ、「頭がいい」と誉めた子供の9割は簡単なテストを選び、「努力」を誉めた生徒は難しいテストを選んだそうだ。さらに続けて、もっと難しいテストを与えると、「頭がいい」と誉められたグループは、すぐにあきらめてしまい、「努力」を誉められたグループは熱心にこの難しいテストに取り組んだそうだ。

 「頭がいいんだね」誉めるのは、その子の「能力」、つまりテストや成績の「結果」を誉めていることにあたるかもしれない。「結果」を誉めると、「結果」の失敗を恐れ、リスクに挑戦することを選ばず、簡単に「結果」だけ出すことを選ぶ。そしてできないことに挑戦しなくなる。それに対して「努力」を誉めると「結果」の失敗を恐れず「努力」を選び、たとえ失敗しても自分の「努力」が足りなかったと考える。

 親は子供のために「結果」ではなく「努力」を誉めよう。

 高校受験部では、難関高校受験研究会はSpecial Programに続いて、5月上旬からAdvanced Programが始まります。脳科学に続いて、親の役割について学年別にお話します。こちらもぜひご参加ください。

※この内容は2015/04塾だよりに掲載したものです。

論文の引用の記載がない。記載だけでなく、元の記録もきちんと整理していなかったので、どの論文が根拠なのか改めて調べてみた。おそらく、出典はコロンビア大学のミューラー教授らの論文「知性をほめることは、子どものやる気や成績を損う可能性がある」(Praise for Intelligence Can Undermine Children's Motivation and Performance / Claudia M. Mueller and Carol S. Dweck Columbia University / Journal of Personality and Social Psychology 1998, Vol. 75, No. 1, 33-52) だったようだ。(この論文結果は経済学者中室牧子教授著「「学力」の経済学」の中でも紹介されている。同著は、数年前に話題となったベストセラーであるが、この「巻頭言」より少し後の発行で、そちらからの引用ではない。ご興味のある方は、同著または元論文を参照ください。)
 改めて全文を読んでみると、「カギ」となっている部分について、上記よりかなり踏み込んだ研究をしている。まず、最初に簡単なテストを実施したあとに、子供たちを、「能力」を誉める、「努力」を誉める、比較対象群の3つのグループに分け、次に敢えて挫折を感じさせるようにかなり難しいテストを実施、続いて元と同程度の簡単なテストを実施するという3段階のテストを行った。さらに様々な他の仮説を検討し計6種類の研究を実施し、子供たち本人の考え方への影響を検証している。
 その結果、驚いたことに、能力を誉めた子供たちは3回目のテスト結果が低下するという。もちろん習熟効果のため3回目はやや上昇することが期待され、比較対象群は実際上昇傾向を示す。そして努力を誉めた子供たちは、大きく上昇するという。誉め方の違いだけで、結果は有意性のある違いを示すとそうだ。
 また実証の結果では、能力を誉めると、努力を誉めた場合に比べて、この課題のゴールが、何かを学習することではなく成績であると考える割合が高くなる。さらに成績は能力で決まると考え、2回目の成績が悪かった原因は自分の能力が低いことであると考えてしまう。それに対して努力を誉められた子供たちは、成績が悪い原因は努力の不足であると考え、努力しようとするようになる。そして、そのテスト課題そのものへのやる気や楽しいと感じるも大きな影響を与える結果となったそうだ
 また、次の試験に向けて欲しい情報を選ばせると、努力を誉めた子たちは、課題を習得するのに役立つ情報を好むのにたいして、能力を誉めた子供たちは、他の(誰だか知らない)子供たちの成績を知りたがる割合が高くなる。さらに自分の成績をよく見せるような嘘をつく(評価者ではない、知らない人に)割合も高くなるそうだ。
「誉めると伸びる」は必ずしも正しいとは言えない。「誉め方」も、正しい科学的根拠とともに学ばなければ、効果がでないだけでなく、悪い影響を及ぼす可能性もある。
 親も指導者も、子供以上に学ばなければならない。

[巻頭言2015/03より] 親の心得

Shingaku Express / 誉田進学塾だより 巻頭言より
(2015年03月号)

親の心得

 新学期スタートである。siriusは先月から、また高校部は昨年12月から新学年スタートだが、大多数のクラスは3月から新しい学年で新年度が始まる。これからの新しい一年もよろしくお願いします。

 さて、先日、お恥ずかしい話ではあるが、お腹にくる風邪からちょっと体調を崩した。おそらくはウィルス性のもので、幸い軽くて済んだ。ちょうど週末に重なり授業にまでは影響なし。また受験シーズンなので、普段なら自然に治るのを待つ程度だったのだが、念のために医者に行き薬ももらって素早く対処もした。

 寝込むまでではなかったので、調子が良かった昼間はちょっと出かけたりもしたが、流石に気合いが入らず、一旦寝たらなかなか起きられない。いつも、やる気は行動が作るとよく言っているが、それもまずは健康あってこそ。

 子供の成長も同じであろう。親は、ついつい足りないところばかり見つけてしまうが、今あるものは忘れがち。まずは健康第一。無事にこれからの一年間過ごせるように、子供の体調を管理するのは親の役目の中でも一番大切なことである。

 それから、次に目的と目標。さらにそれを具体化するための行動に具体化することと続くが、これはなかなか子供には難しい。中3の受験期にそれができるようになるのが理想だ。高校生になってもなかなかできないことも少なくない。だが、この部分は主に塾の役目。そして最後にその行動の実行。これは子供が主役だが、やる気を維持するためには、周りが認め誉めることが大切。親には親にしかできない役目があり、親ではできないこともある。親としても成長していただきたいと願う。

 難関高校受験研究会では、そんな講演を予定している。ぜひご参加ください。

※この内容は2015/03塾だよりに掲載したものです。

 人は、足りないところに目が行きがちになるらしい。できてないところ、ダメなところを見つけ指摘するのは簡単だ。だが指摘されただけで治るなら、誰も苦労はしない。そもそも、子供でなくても、他人から指摘されたところを素直に認めて治そうと受け入れること自体が難しい。自ら気づき、自分から治そうと考えて試行錯誤する過程を経ることで、初めて必要なアドバイスも受け入れるようになるのだろう。
 その状態に導くことは親にとっては非常に難しいかもしれない。まずは、あるもの、できていることを認めることから始めよう。これは意識すれば比較的簡単に身に着けられることだと思う。
今あるものに感謝し、自分しかできない役目を正しく理解して、自身が成長する努力に集中しよう。自分が考え方を変え、行動を変えれば、周りも変わるはずだ。

[巻頭言2015/02より] 受験は団体戦!

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Shingaku Express / 誉田進学塾だより 巻頭言より
(2015年02月号)

受験は団体戦!

 入試シーズンの前哨戦、序盤戦を終えて、いよいよ中盤戦から後半戦にさしかかるところ。これがお手元に届く頃には、中学入試はいよいよ最後の難関、都内入試と県内2次、高校入試は私立高校の後期入試から公立高校前期入試へ、大学入試は私大個別試験スタートの時期を迎えているだろう。この時期、毎年同じようなことを書いているが、今年も敢えて同じようなテーマで書こう。

 絶好調の生徒、第一志望をすでに勝ち取った生徒もいるが、なかなか思うような結果を残せていない生徒もいるはずだ。そんなときこそ最大のチャンス。試練こそが人を鍛えるチャンスなのだ。力が一番伸びるのは、入試の本番の最中であろう。本番の一発勝負の経験は、本番でしか体験できない。その経験が次の成長を生み出す。うまくいかなかったときこそ、その現実から目を逸らさずしっかり見つめることが大切。その経験の中から、今の自分に足りないものを見つけ出して、教訓としてほしい。そして、決して逃げることなく、諦めずにチャレンジしよう。

 あと少しだと考えると、脳はブレーキをかけるようにできているそうだ。まだまだゴールはずっと先。気を抜くことなく駆け抜けよう。受験は団体戦。頑張る仲間がいるから頑張れる。その仲間のために、自分が必死に頑張る。自分の頑張る姿で、仲間に勇気とやる気を与えられるくらいに頑張ろうと決意する。仲間のためにと誓おう。その気持ちがやる気をさらに生み出す。「誰かのため」と利他の気持ちで頑張るとき、脳は一番力を発揮する。そんな仲間たちが、たくさん集い、ともに切磋琢磨する環境が、誉田進学塾グループだ。受験は団体戦!!

 今年もやります! 千葉テレビ公立高校入試解答解説の番組を今年も生放送で担当させていただきます。少しでも受験生たちへの励みになるよう頑張って準備します。ご期待ください。
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※この内容は2015/02塾だよりに掲載したものです。

 入試が「団体戦」となるためには、必死になったとき、苦しく悩んだとき、ともに刺激し合い頑張った真の意味での「仲間」がいなければ成立しない。
 長時間、ともに勉強に集中し過ごす夏期講習は、仲間意識が生まれる大切な機会となるはずだ。そしてこのあと、受験を強く意識し、周りもその空気で支配されていく秋から冬にかけては、さらに意識に大きな影響を残す。
 真の意味での仲間とは、ともに切磋琢磨しながら、お互いによい影響を与えあうライバルでもあり、また苦しいときにも頼れる信頼できる友のような存在であろう。受験の真の敵は、自分自身の弱い心である。「受験戦争」と揶揄されるような、ライバルを敵視し、蹴落としてでも自分だけが、というマイナスの心からは、大きな力を発揮し続けることはできないはずだ。
 そのような仲間と出会い、ともに成長する経験をするためには、特別の場が必要となる。進学塾として、そのような「強い磁場」となることを望む。
 後半戦が近い。

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[巻頭言2015/01より] なんのために勉強するのか?!

Shingaku Express / 誉田進学塾だより 巻頭言より
(2015年01月号)

なんのために勉強するのか?!

 新年おめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

 既に、新年の計をお立てになっただろうか。今年はこうするぞ! と目標を立てても、ついついそのまま何も変えられずに終わった経験は、みな少なくないだろう。どんな目標も、まず強く決意し、常に意識し続けていなければ機能しない。そのためには、明確な数値と期限を伴うほど、よいと言われている。

 ただし、目標の前に、目的が大切だ。「なんのために」するのか、そのWhyが一番大切だ。大人の仕事でも、子供たちの勉強でもそれは全く同じ。何事も、まず、意義目的を明確にすることから始めなければいけない。そしてその次にそれを実現するための目標を明確に立てるのだ。

 ここでいう目的はいわゆる「夢」というのとはちょっと異なる。「使命」と呼ぶのが、ふさわしいかもしれない。勉強の世界で培った能力を生かして将来活躍するはずの子供たちが持つべき本当の使命は、「ノブレス・オブリージュ」(仏語=noblesse oblige, 英語ではnoble obligationと訳される)ではないだろうか。「高貴なる義務」と翻訳されるが、「将来、勉強を通して磨いた力で活躍する人たちに与えられた才能は、周りの人々を幸せにするために与えられたと考えよ」という意味ととらえればわかりやすい。与えられた才能は、独り占めしてはいけない。その才能は、いつか誰かを幸せにするために、磨くことが必要だ。その磨くことに最も効果のある方法、それが勉強なのだ。勉強は自分のためではなく、未来に出会う人たちのためにするのだ。

 新年の初め、心を新たに、以上のようなメッセージを、ぜひお子様にお伝えください。親の信念が、子供をまっすぐに成長させます。

※この内容は2015/01塾だよりに掲載したものです。

 将来、世の中で、世のため人のために活躍するための力を磨くには、「勉強」は非常によい方法だ。長い年月をかけて一般的な学力の基礎を磨くための義務教育、より高度な専門教育に進むために必要となる知識や考え方を磨くための高等教育、そして専門的な力を磨くための専門教育と、段階を踏んで伸ばすように組み上げられてきた。
 もちろん、社会で活躍を期待される仕事は多様であり、高い学力を必要とする仕事が高貴だと主張しているわけではない。また将来必要な力は勉強だけで磨けるものでもないが、少なくとも現代の日本社会では、勉強を通して培った高度な学ぶ力が有効な仕事の割合は非常に高い。
 勉強によって得られる能力は遺伝的要素より後天的要素の影響が強い。強く願いやり続ければ、素晴らしい高みを目指すことが可能なはずだ。そして、その勉強によって得た力を、将来、利他のために活かし続け、活躍することを願う。
 まずは学ぶことを楽しいと感じることから始めてほしい。やり続けるには目的意識や目標設定よりも、楽しく好きであることが原動力となる。使命となるのはずっと後でよい。

[巻頭言2014/12より] 前向きに

Shingaku Express / 誉田進学塾だより 巻頭言より
(2014年12月号)

前向きに

 早くも、師走である。なんとなく、追い立てられる気持ちになる。時間がないと否定語が口に出やすい。しかし、不安な感情、マイナスな感情を持つことは、行動に大きな負の影響を与えることは容易に想像がつく。

 脳科学者の方の話によると、マイナスの感情を連想することが脳の記憶力に影響を与えることが、イギリスのビズビィ博士の研究(Negative affect impairs associative memory but not item memory , James A.Bisby and Neil Burgess)でわかったそうだ。電気ショックを与えてマイナスの感情を発生させ、記憶力との相関をテストする。すると、電気ショックをときどき与えながら記憶させたときには、通常の記憶力と大きな変化は見られないが、電気ショックを想像するような背景を見せながら実験すると、記憶力が低下したのだそうだ。

 このことから、直接的な負の刺激よりも、負の感情を連想する不安な気持ちが記憶を低下させていることがわかる。
 つまり、何かよくないことがあったときに、それをどうとらえるかによって結果が異なるということ。同じことに出会っても、考え方一つで脳の状態は大きく変わり、成果が変わることになる。愚痴を言ったり、不安な感情を抱え込んだりせず、前向きに、どうしたらうまくいくかを、考える習慣が大切。

 そのためには、周りの環境が与える影響も大きい。子供たち、そして受験生には否定語の言葉をかけないようにするだけではなく、そんな言葉を引き出さないようにしたい。言葉は無意識に内に発せられる。大人もまず肯定的にものをとらえよう。

 「忙しい」は心を亡くすと書く。師走こそ、改めて当たり前を一歩ずつ進みたい。

※この内容は2014/12塾だよりに掲載したものです。

 (例によって季節外れの書き出しだが…)

 本稿の中の主題、記憶に影響を与える「負の感情」だが、それは本人の日頃の考え方、周りに対する捉え方が大きな決定力をもっているだろう。習慣が成せるものの一つであるはずだ。その考え方、捉え方は本人以外は、直接的には知ることはできないが、発する言葉から容易に類推することは可能であろう。発言に、否定語が多いか否かに注目するというのは非常にわかり易い。
 ところがその状態を変えることが難しい。本人が悪い習慣を自覚して、自ら変えようと努力しさえすれば、案外簡単なのだが、そのために、その前にその本人の考えを変えなければならない。そもそも、その本人の考えを変えるために習慣を変えようとしているのに、習慣を変えるには考えを変えるのが早いというのだから、いわゆる「タマゴが先か、ニワトリが先か」問題である。
 だからこそ、周りの大人のよい影響が必要となる。子供たちから強く前向きの考え方と気持ちを引き出すために、常に、大人も強く前向きな考え方や気持ちを持たなければならない。過去に向き合うと否定的な考えを引き出しやすい。意識を未来に向け、素直に明るく前向きな気持ちを引き出すようにしていこう。

 未来は明るいと強く信じることが始まる。

[巻頭言2023/07より] 好きこそ

Shingaku Express / 誉田進学塾だより 巻頭言より
(2023年07月号)

好きこそ

 先日、昨秋早逝した高校時代の友人(悪友と言ったら文句を言われたことがある、こっちが悪友でしたね(苦笑;))の追悼ライブに行った。身内だけの葬儀だった代わりに、彼が好きで歌っていた自作の曲を、ご家族とバンドの仲間たちがライブハウスで演奏するというもの。奥様は、ご自分の文学賞受賞が決まった日が彼の病気がわかった日で、その心中は想像し難いが、終始明るく会場を盛り上げていた。彼が、会社の後輩たちとやっていたバンドを楽しんで、長く続けていた様子がよく伝わってきた。

 一緒に行った高校時代の友人の一人が、選択が音楽より美術だった連中の方が、あとに長く楽器をやっているね、と言い出した。確かに例は少なくはなかったが、あくまでも身の回りではという程度なのに、少し思い当たる部分があった。

 曖昧な記憶だが、小学校入学後にピアノを習い始めた。自分から望んで習ったのではなく、練習は最低限、順番待ちで読む漫画が目当てだった。バイエルが終わる頃に先生の都合で、先生が替わることになった。非常に厳しい先生で、それが嫌で辞めてしまった。同じ先生に習い続けていた同級生は、今でも相当上手いことをずっとのちに知った。相性の問題と片づけることは容易いが、振り返ると結局、弾いていた音楽が好きではなかったのだ。高校の終わりくらいになって急にギターを始め、学生時代はのめり込んだ。好きな曲が弾きたかったのだ。しかし、楽器は始めたのが遅いと高く伸ばすことが難しい。できるだけ早い方がよいのだ。

 勉強は、芸術やスポーツよりも年齢が進んでから伸びる能力とわかっている。それでも、早い段階から好きにすることが大切だろう。好きになるきっかけは親が一番多いそうだ。親が楽しんでやっているものを見ると、子供は触れてみたくなる。
昨今の調査で、勉強嫌いの子供が急激に増えているのは、大人たちが勉強を嫌いだからなのかもしれない。大人こそ、楽しく学ぶ気持ちを忘れてはいけない。

※この内容は2023/07塾だよりに掲載したものです。

 楽器を練習したことがあればピンとくるのではと思うが、楽器の習熟には、全体を意識しながらも、個別の特定「部分」に自ら課題意識をもって、練習することが必要だ。いわゆるストイックな姿勢で自分の課題に対して向かい合う練習、「意図的な」トレーニングを繰り返さなければ上達するのは難しい。単なる反復練習ではなく「意図的な」トレーニングは、どんな分野でも上達のための必要条件だ。
 様々な最近の研究の結果によれば、その練習自体は、ハイレベルになればなるほど脳に強い負担がかかるため、どんなその道の達人=エキスパートたちにとっても「楽しくない」ものなのだそうだ。エキスパートたちが、その楽しくない壁を超えていくのは、その先へ行きたいと求める心が強いからに他ならない。それは何かのために努力するという考えによるものよりも、素朴な達成意欲のために、さらに好きだからという原始的な気持ちによるものの方が強く持続する。
 大人は子供に対して、努力することを楽しんでいる姿を、もっと目の前で見せることが大切なのではないだろうか。できないことをできるようにすることが「学ぶ」ことの本質である。今までできなかったことに、失敗しながらも挑戦し、それ自体を楽しむ様子をそのまま見せよう。好きなものであることが大切であり、とくに秀でている必要なはない。むしろ下手でも楽しんで新しいことに挑戦する方がよいかもしれない。
 できれば勉強そのものや、勉強に近い知的なものに対しての新しい挑戦であってほしい。
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 ギターで新しい曲を練習したくなった...。
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(学生時代)

[巻頭言2014/11より] お手本は?

Shingaku Express / 誉田進学塾だより 巻頭言より
(2014年11月号)

お手本は?

 中3受験生対象の「難関高校受験研究会Final Program」、sirius保護者対象の「難関中学フェア」、高校部の高1生対象、高2生対象の保護者会と、保護者の皆様にご参加いただくイベントが続いた。たくさんの皆様にご参加いただき、感謝とともに、受けている期待の大きさに心改まる思いだ。スタッフ一同、そのご期待に応えるよう努力します。

 さて、その準備の話。毎年毎年のイベントではあるが、前年と同じままでは進歩がない。必ず進化するように、皆で努力している。発表内容の検討からその準備、直前のリハーサルと重ねて、よりよいものへと毎年毎年進化させて提供するのが誉田進学塾グループのやり方。

 それは保護者の皆さまにだけでなく、子供たちへも同じ。ともすれば、やる側は毎年同じ繰り返しになりがちになるが、子供たちにとってはそのときその瞬間がただ一度のやり直せない瞬間。一発勝負の真剣勝負のとき。その覚悟で準備を整えなければ、望む成果を得られない。

 それは子供たちにとっての勉強も同じ。彼らの毎日毎日は、同じことの繰り返しではなく、そのときしかない特別のときなのだ。常に勉強も、自分自身を進化させるつもりで、真剣勝負で臨まなければ、望む成果を生み出さない。

 子供たちをそういう気持ちにさせるには環境が大切だ。まず親が身を持って手本を示そう。なんでもないような一日をただの一日にしない努力。二度とない貴重な時間として生きること。何事も、大人が自ら手本を示さなければ、子供たちを変えられない。
皆様、ともに頑張りましょう。

※この内容は2014/11塾だよりに掲載したものです。

 夏期講習はスタートしたばかりだが、講習明けには、保護者向け・塾生向けのイベントが目白押しだ。毎年、進化を重ねてきたので、本稿の頃より、さまざまなイベントを開催し、内容も濃密になっているはずだ。また夏期講習前にも、保護者向け、塾生向けのイベントがあり、今年も無事開催できた。
 準備する側の努力を自慢するわけではないが、毎年、きちんと開催し、少しずつでも改善し続けるためには、それなりの組織的な運営が必要だろう。その場で、えいっと頑張ってなんとかしてしまうやり方では、単発の行事ならばよいかもしれないが、開催側はいつか疲弊して続かなくなるか、品質が低下してしまうだろう。
 これは受験勉強でも本質は同じだ。瞬発的な集中力や頑張りで乗り切るのでは続かない。毎日、同じようにやり続けてゴールまで届くことを計画して、習慣化するしか高いところには達しない。
受験生の塾生たちのこの夏が、そういう夏になるように願う。

 さて、新しいイベントの告知です。
 9月10日に、今年から新しく開催となる、大学進学フェスタに協力します。大学進学の向けて真剣に考える機会を提供します。
高3生のみなさんは、第一志望はもう決めていると思いますが、受験大学選択の幅をもういちど広げて考えてみるいい機会。高2生のみなさんは、いよいよ受験を意識する時期、そして高1生のみなさんも、まだまだ先ではありません。
 ご期待ください。

大学進学フェスタ in CHIBA 2023
https://sites.google.com/view/univ-festa
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