Shingaku Express / 誉田進学塾だより 巻頭言より
(2023年09月号)
言うは易く行うは難し
今日、盛岡からの帰路車中で考えたこと。
「私学・私塾教育ひとすじに歩まれた」東北の故理事長を偲ぶ「感謝の会」に参列した。進学塾から出発した学校法人の2代目として、高校の一教諭からスタートされ、私立高校・附属中学校、多数の各種専門学校、幼児教育、日本語教育、国際人財教育、予備校、そして最後は大学までの総合専門教育グループを大きく展開された方。多方面から多くの方が集まり、故人の「楽しく」の言葉通りの会だった。
帰路で拝読した冊子には、机上に残された絶筆として「熱意、誠意、思いやり、挑戦」「創意工夫」「謙虚さ」「寛容」の手書きメモが掲載されていた。最後の2つについては、それぞれに対する考えの添え書きも。要介護区分が進んでの、亡くなられる数日前まで執務室に向かわれていたとのこと。詰まる思いを感じる。
これらの言葉は、どれも、よく使われる「良い」言葉であり、誰しもが大切なことだとわかっているものだ。だがそれは、わかっているつもりでも、常にそうあるか、できているか、と問われれば難しい。凡人には、常に言語化して問いを発し続けなければ、実現はできないのではないだろうか。
大人はそれを、子供に対して、つい強く要求してしまいがちになる。言うだけなら簡単なのだ。しかし強く言い続けることでは、子供の考えを変えることは難しい。自ら気づき欲しなければ本質は変わらない。だからこそ、子供たちに要求するのではなく、自らの行いを振り返り、問い続けることから始めなければならないはずだ。
故理事長は、若き日に取り組んだ格闘系武道からくる脅威による教育を悔い続けていたそうだ。苦労し老成されてからの柔和な表情しか知らずだったので、そのエピソードは少々の驚きとともに聞いた。座右の銘は「感謝に勝る能力なし」で、生かされていることへの感謝を忘れることはできないと結ばれていた。ご縁に感謝。
※この内容は2023/09塾だよりに掲載したものです。
公式の「お別れの会」が午前中に行われたあと、縁のあった方々への「感謝の会」として開催された。数度しか接点はなかったのだが、ご案内をいただいき参列した。本文の通り、冒頭に「楽しく」との故人のお言葉の紹介があり、その通りの会となった。
何年か前に開催された塾業界の勉強会で、訪問見学させていただいたことを思い出す。私立高校・附属中学校の見学だけでなく、多種の複数の専門学校を、直に見学した。専門学校の現場を見ることはめったいないので、とくに興味深かった。東北北部3県の人口で、他の地域では、この規模でいろいろな専門学校を維持することは無理だと紹介されていたが、なるほどと思う内容だった。
しかし、一番感銘を受けたのは、ご講演の中で触れていた、出発点の塾として創業した先代の志、そしてご自身が、引き継がれたときの気持ちであった。
(そのとき見せていただいた創業時の看板)
改めて、感謝とともに、ご冥福をお祈りいたします。