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[巻頭言2014/04より] 習慣化

Shingaku Express / 誉田進学塾だより 巻頭言より
(2014年04月号)

習慣化

 入試、発表、卒業、そして新しい出会い。慌ただしい行事とともに3月が過ぎていった。塾では3月が大きな節目だが、学校では4月、生徒たちは新しい環境に進むことになる。新しい挑戦は、大きなストレスを伴うことが多い。早く新しい環境に慣れて、活躍してほしいと願う。

 さて、つい最近、脳科学者の方から聞いた話だが、自分の意思で脳が働き、行動が起きるというのは、脳科学の実験では、あまり正しくないらしい。ついつい『意志⇒脳の反応⇒行動』のように、自分の意思、思考が、脳をコントロールして、その結果行動が起きると思いがちだが、そうではないという。

 脳の外科手術を必要としている患者の許可を得て、脳に刺激を与える実験をした結果があるのだそうだ。脳のある特定の部分をそれぞれ刺激すると、「手を動かしたい」「しゃべりたい」などのような思考が生まれるという。さらに強く刺激すると実際にしていなくても「手を動かした」「しゃべった」と思うのだそうだ。

 つまり『脳の反応⇒思考』の順に反応する。また、ほとんどの『行動』は『習慣』が支配していて、『無』意識に、潜在意識で起きるのだそうだ。

 ということは、潜在意識に透徹するまでの強い意志をもって、新しい『習慣』を創ることで、行動が変わり、考え方まで影響するということ。

 せっかくの新しい節目の季節。環境が変わることで、新しい習慣が作られる時だ。保護者の皆様、『よき習慣』を、お子様につけることを考えるだけでなく、ぜひ自ら創ることに挑戦してみましょう。

 4月12日に予定しています、「難関中学高校受験研究会Special Program」での林先生の特別講演会ですが、おかげさまで早々に満席締切となりました。ありがとうございます。

※この内容は2014/04塾だよりに掲載したものです。
 例えば、家を出て少し歩き始めてから、鍵をかけ忘れたのでは? と気になるときがないだろうか。テストを提出した直後に、名前を書き忘れたかもと心配になったことがある人もいるかもしれない。
ほとんど場合、そういうときは忘れてはいない。習慣で無意識に行動をコントロールしているとき、ルーティーン化された習慣通りの行動を再現し、予定外のミスはしていないことが多い。だから、ミスを防ぐには、習得の初期段階で、正しい習慣をつけることを徹底的するのがよい。
 それでも『確率論』的に生じる”小さなミスは防ぎにくい。一つ一つの手順を、『意識的に』確認しながら行動しなければミスを生じやすくなる。ただし、この『意識的に』というのは非常に難しい。毎回、確実に『意識的』に行動するには、意識を込めるための新たな『習慣化』をするのがよいだろう。いわゆるルーティーンを作る。
 中学生の頃、試験でケアレスミスを良くしていた。受験学年になり模擬試験などをたくさん受けるようになると気になってくる。見直しをするのだが、感触からたぶんできているだろうという潜在意識が邪魔をしてしまい、見直しが甘くなってしまっていたのだろう。あるときから、最初に戻って見直す最初に、記入した名前を一度消して、意識的に丁寧に書き直すことにした。すると見直しでミスをスルーしてしまうことが少なくなった。当時はそれは単なるおまじないかジンクスのようなもとと考えていたが、この仕事についてから思い出し、考えてみると、意識を変えるためのルーティーンのスタートの「儀式」として有効だったのだろうと推察できる。もっとも高校入学後にはやらなくなってしまったので、本当にそうだったのかはわからない。意識の状態を意図的に変える効果だったはずなので、「儀式」不要で切り替えられるようになれば意味がなかったのだろう。少なくとも、今やっても何の効果はないことはわかる。
 『意識的に』というのは心の状態で、具体的な行動ではないので、『意志』でコントロールしにくい。『行動』によって変えるのがよいということだ。
 こんな話を書いたのは、実は、今朝、家を出て少し仕事場に向かったところで、鍵をかけたかどうかが気になり戻ったからだ。もちろん鍵はかかっていた…(苦笑;)
 習慣化と意識的の両極端の並立。
 「有意注意」で集中して行動しよう。