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[巻頭言2011/07より] 壁を登れ

Shingaku Express / 誉田進学塾だより 巻頭言より
(2011年07月号)

壁を登れ

 ようやく難関高校受験研究会Advanced Programがすべて終了した。

 今年もたくさんの保護者の皆様にご参加いただきました。とても熱心にお聞きいただき、こちらも熱が入り時間延長してしまいました。感謝です。ありがとうございました。この保護者対象の会は、毎年、学年別に成長の時期に合わせてのお話をさせていただいています。ぜひ毎年ご参加ください。

 子供の成長には壁が必要だ。壁は高すぎても低すぎてもだめ。低い壁では新しいチャレンジをせずに登れてしまう。高すぎる壁では、初めから無理と努力する意欲を失う。目標は、なんとか頑張れば届くというところのちょっとだけ先に設定することが大切。一段一段届く限界にチャレンジして登り続ける。それを繰り返していくうちに、限界そのものも高いところになる。けっして初めから用意された、効率よい簡単な壁のない道にしてはいけない。それでは自分自身を変革する必要性すらないからだ。

 成長とはどこまで登ったかではなく、登るために十分な自分自身に、どこまで磨いたかである。この夏期講習はそんな自分を磨く壁にしたい。

※この内容は2011/07塾だよりに掲載したものです。
 少々本題とは離れて、塾だよりの内容から、少し珍しいものがあったのでご紹介。
 避難訓練実施の報告記事が掲載されている。
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東日本大震災の年なので、実施した。それまでも、きちんと消防署の指導で避難計画を立てていたが、震災を契機に、実際に塾生参加の訓練を実施した。その後、さまざまな経験値を積みあげ、現在は、塾生が参加する形式のものは実施していないが、訓練自体は定期的に訓練はしている。
 万全の体制が重要と考えています。
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[巻頭言2022/04より] 学ぶことを好きになってほしい

Shingaku Express / 誉田進学塾だより 巻頭言より
(2022年04月号)

学ぶことを好きになってほしい!

 (業界誌のインタビューの一部だが、少し書き加えてここにも掲載しておきたい)
 昨年末、高校時代の担任の先生が亡くなられた。享年90歳。数学を担当し、強い言葉やきつく叱ることが全くない、穏やかな話し方の先生で、のちに予備校でも教鞭を執られた。熱血教師、凄腕の先生というわけではなく、印象深いエピソードがあったわけでもないはずだが、後になり、毎年お招きするクラス会で、みんなから慕われている姿を見て、これが先生のありがたさなのだと気づいた。

 引退されて随分経った頃、ご自身でコツコツとまとめられた数十ページに及ぶ参考書の草稿をお預かりした。クラス会幹事を引き受けていたからだが、仕事柄、意見を求められたのかもしれない。恐れ多くて、のちにワープロ原稿をそのまま印刷し同級生に配布するに止めた。読み返すと、いわゆる解法の解説ではなく、考える力がつくようにと大変工夫されていた。解法方略をどう見つけ、解答へとたどり着けばよいかを、入試問題を題材に一般化しようと試みていて、良問として選ばれていたのは、東大・京大・東工大・一橋・早稲田理工限定(全部解きました)で、当時の3年間分。あとがきには、翌年の入試が出たら差し替えるとの熱意が書かれ、最後に「みんな数学が好きになってほしい!」と結ばれていた。

 これこそが、たくさんの先生たちが作ってきた教育の歴史だと思う。

 私たちが仕事で携わる受験は時に難行苦行に例えられ、目的達成のために、苦しくても耐えるべきものと扱われがちだ。しかし、それではいけない。学ぶことが好きだという気持ちを失わないように、むしろ受験を通してこそわかる学ぶ楽しさを次世代に伝えていくことと、成績向上や志望校合格を両立させることこそが私たちの使命であると考える。未知のことを知る瞬間の楽しさ、わかった! できた! という喜び、その学びの原点の追求を目指し頑張る決意だ。

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※この内容は2022/04塾だよりに掲載したものです。
 いただいた参考書冒頭の「はしがき」には、「「数学の問題は考えて解く」ことを知ってもらうのが、この本のねらいですから、気楽な読み物として読んでもらえるように」と書かれていて、「考える学習で楽しさと自信が育つことを願っています」と結ばれている。先生は、数学の受験問題を使って「考えること」の楽しさを伝えたかったに違いない。「ひらめきとか天才とか言う」「特別の才能が必要」ではないとも書かれている。誰でも「自然の心の働き」を使って考えることで、このわかったという楽しい瞬間を感じることができるはずだと信じていらっしゃったのであろう。
 まだまだ追求する先は遠くまで続く。頑張ります。

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[巻頭言2011/06より] ピンチこそがチャンス

Shingaku Express / 誉田進学塾だより 巻頭言より
(2011年06月号)

ピンチこそがチャンス

 教室によって外に花を植えている。塾生だけでなく、道を通る人たちにも楽しんでもらおうと、よく見えるようにしている。季節に応じて毎年、夏用と冬用を入れ替えている。今年も夏に向けて花を植え替えたところだ。この夏は、暑さに備えてゴーヤのカーテンもチャレンジしてみたところもある。

 この花やゴーヤ、植えたらすぐに先端を切って詰める。すると切った脇から新しい芽が出て枝が増えて立派になる。また実をつけるものは別だが、花を楽しむだけのものは咲き終わった花はすぐに取る。すると次々とつぼみが成長して上がってくる。どちらも植物にとっては一種の逆境である。しかしその逆境が、結果的に生命力を強く発揮させることになり、成長を促す。

 子供の成長も同じようなところがあるかもしれない。順調にすくすくと伸びることもあるが、壁にぶつかり伸び悩み、停滞しているように見える時期もある。この簡単に乗り越えにくい新しい壁にぶつかることこそが次の成長を生み出す。壁を越えるためにエネルギーを充電し、目に見えない自己変革をしているときなのだ。壁にぶつかることは悪くない。チャンスなのだから。

※この内容は2011/06塾だよりに掲載したものです。
 「植物も育てられないのに、教育ができるわけがない」と、植物を例にだしてスタッフを諭すことがある。もちろん、植物を育てる方が簡単だというわけではない。
 「育てる」という意味では共通することが少なくない。子供なら言って聞かせれば、思う通りになるという傲慢な過信をしてはいけない。子供は、適切な環境を与え、自ら考え行動させることで、自ら育つものである。誰かに育ててもらわなければ育たない存在にしてしまってはいけないはずだ。
 植物は、日光と水と適切な環境条件を与えれば、自ら育つ。まさか植物に言って聞かせて育てようと考えることはあるまい。
 また「農家は毎年が一年生」という言葉があると、農業を営む方から聞いた。農業は、一度うまくいくと、それに慣れて同じことをやればよいというような単純なものではないという意味だ。毎年毎年、天候などの外的条件が変わり、それに向かい合い続けなければうまくいかないということだそうだ。単なる経験則ではなく、いわゆる科学的アプローチを繰り返していかなければ前進しないという。
 教育と通じるものがある。
 すべてを厳しく見つめて前進していきたい。

[巻頭言2022/03より] 考える力の養成のカギ

Shingaku Express / 誉田進学塾だより 巻頭言より
(2022年03月号)

考える力の養成のカギ

 2回目となった大学入試共通テストは、大方の予想通り難化した。ご存じの通り、とくに数学の平均点が大きく下がった。一部に、数学の前提になる「読解力」に問題があるとの指摘も目立つが、はたしてそうだろうか。どうも未知の問題に初めて立ち向かうという受験生同様の「場」に自分を置いて解いていない人の指摘であるように感じる。問題解法が理解できるかと、入試で力が発揮できるかでは、いわゆるメンタル面の影響だけではなく、大きく異なる要素がある。

 優れた音楽演奏家と中・初級者の練習の際の違いについての心理学の科学的研究は少なくないようだ。その中で、顕著な違いとして曲のイメージ(地図に例えられるような)を練習前に詳細に持っているかを挙げているものがある。指使い等の直接演奏に必要な要素ではなく、曲想を詳細に描いているかということだろう。

 またチェスの名人の「目隠し対戦」の研究でも、盤面を瞬間的に暗記できるのは、チャンク(塊)として局面を掴み、その上位の知的構造として認知しているのだそうだ。だから無作為に駒を並べた実験では、初級者と差がつかないらしい。

 数学でも、解答を考え始める段階で見通しを立てる方策部分が、大きなカギを握る。今回の共通テストでは、計算量が多過ぎて時間が大幅に足りなかったので一概には言えないが、解法の誘導文が、先が見えにくい方向のアプローチで、見通しが立たなかったのではないだろうか。最後の答え自体を知っている問題があったせいか、その違いを強く感じた。また先日、高校生の入試初級程度の質問対応で、こちらは初見でも答えの見当がつき、最適な方針がすぐ見えるのに、学習内容自体はよく理解していても高校生は苦戦するという同様の体験をした。

 先を見通して考える力の養成は、単に数をこなせということではないはずだ。新年度です。取り組むべき課題は少なくない。スタッフ一同研鑽していきます。

※この内容は2022/03塾だよりに掲載したものです。
 昨年から始まった大学入試共通テストに対する、各方面からのさまざまな論評は、今回の難化によって、ますます続きそうである。
「思考力・判断力・表現力」を問うという考え方に対して、2年実施されたことで現在の出題の方向性は、少しはっきりしてきた。もちろん傾向は変化し続けるであろうが、考え方の基盤の方向性ははっきりあると思う。その形が見えてきたことで、進歩した点もわかるようになったが、新たな課題も明確になってきた。
当然、様々な意見や異論もあるだろう。
 しかしながら、少なくとも思考力を全面に押し出しての改革、ぜひその理念を目指して試行錯誤しながらさらなる前進を目指してほしい。形ができたらそれでよいというものではないはずだ。
 そして、私たちもそれに対しての単なる表面的な対策ではなく、本質的な思考力を伸ばす方法の技術開発と実践によって生徒たちの力自体を伸ばすことで、結果をだしていきたいと考える。
 まだ始まったばかりだ。

[巻頭言2022/02より] 受験は団体戦!

Shingaku Express / 誉田進学塾だより 巻頭言より
(2022年02月号)

受験は団体戦!

 入試時期に第6波が押し寄せてきた。これを書いている時点では、先の流れは見通せないが、いずれにしても厳しい感染状況で入試に立ち向かうことになる。感染防止に努めながらも、学力を伸ばすことをしっかり続けていくことは言うまでもない。とくに受験生に対しては、昨年の同じ時期の第3波の経験を活かして、本番で力が発揮できるように「心」の指導も、最大限に努力します。
 「心」の指導、と、これは敢えて書いた。入試本番の日だけ、受験勉強で積み重ねてきた本人の力を超えた特別な力が発揮できることはありえない。持っている力を出しきるだけでもなかなか難しい。だから、一発勝負のやり直しの効かない場では、ここ一番で力を出しきる「心」の訓練、即ちメンタルトレーニングをしておくことが大切になる。それには、メタ認知能力が関わる判断力、危機管理力というようなものも含まれる。その訓練をしていても練習は本番ではない。よほど力に余裕があるようなときでなければ、「初めて」の一発勝負では力を出しきれない。できれば本番のために、本番の経験を多く積むことが一番であろう。
 しかし、ただ経験を積めば解決できるわけではない。適切な振り返り、つまり力が発揮できなかった課題点を正しく見つめるためのフィードバックが不可欠。課題に対して具体的な「心」の改善をしなければ、成長する機会にはならない。
 そのために私たちは、解答速報や分析のスピードを非常に大切にしているが、受験生にとってその認識を一番効果的に与えてくれるのが仲間の存在である。それは自分が発揮できた力の相対的な座標を知ることだけに留まらない。一緒に切磋琢磨してきた仲間だからこそ生まれる、頑張ろうという気持ち。私たちは、長く多くの経験からその重要性を確信している。受験は団体戦!! 頑張れ受験生!

 今年もやります! 千葉テレビ「公立高校入試解答解説」を今年も生放送で担当します。受験生たちへの励みになるよう頑張って準備します。ご期待ください。

※この内容は2022/02塾だよりに掲載したものです。
 「受験は団体戦!」
 今年の受験は、首都圏全体で志願者増加の傾向が顕著にでた難関中学入試、制度改革2年目で難関公立高校の倍率が大きく上昇した高校入試、そして共通テスト2年目で大幅に難化した大学入試、どれも難関受験生にとっては厳しい入試だった。
そういう苦しい場面に直面したときほど、仲間の存在の差は大きい。
 そして、ちょうど今は次のステージでのスタートダッシュに向けての時期である。そのときに差がでるのも仲間の存在だろう。
 ともに、自分に厳しく、競い合い磨き合ってきたからこそ生まれる真の意味での仲間。その真の仲間に出合える「場」として機能するように、今年度も努力します。

[巻頭言2011/05より] 歩きながら考える

Shingaku Express / 誉田進学塾だより 巻頭言より
(2011年05月号)

歩きながら考える

 毎年恒例の「難関中学高校受験研究会Special Program」、今年もたくさんの保護者の皆様にご参加いただきました。ありがとうございました。
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 第二部の特別講演、木下先生のお話はいかがでしたか。これをきっかけに、親が子供に託している本当の気持ちをもう一度振り返ってみていただきたい。子供の未来の幸せとは何か、どんな状態なのか。
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 何かを考えるときは最初にゴールから考えることだ。いつまでにどうありたいのか、そして何のためになのか。目標ではなく目的が大切。それは視点を変えてみれば、未来に向かってものを考えることに他ならない。ゴールへ進むにはどうしたらいいか逆算して考える。そんなときは、立ち止まってではなく歩きながら考える方がいい考えが浮かぶ。ぜひ試していただきたい。

 5・6月に小中学部保護者対象「難関高校受験研究会Advanced Program」を教室学年別に開催する。具体的な学習法に加え、「子育てのヒント」もお話しする。高校部の受験生の保護者対象「難関大学受験研究会」を開催する。ぜひ、皆様、ご参加ください!

※この内容は2011/05塾だよりに掲載したものです。
 「歩きながら考える」と題しているが、その点にはあまり触れていなかった。
 脳科学では、脳は「めんどくさがり屋」だとされている。脳にとって負荷のかかること、つまり行動を起こす、難しいことを考える、できないことを勉強するなどは、やり始める前にやりたくないという状態になる。ある行動を起こす前に、その行動の負荷を想像することで、「いやだな」という気持ちを引き起こす。
気持ちは、脳の状態なので、直接意志の力ではコントロールしにくい。「やる気」をだそうと思うだけでは、やる気を生みだしにくく、行動につながらない。座ったり寝ころんだりしている状態で、じっとして考えていると、そのままいる方が脳にとっては楽なので、動かない行動を脳は選択してしまう。
 こういうときは、まず動こう。立ち上がる、一歩歩くという単純な行動によってでも脳の状態は変わる。いったん歩きだすと、そのまま歩き続ける方が脳にとっての負荷が小さくなる。そういう脳の状態のときに、考える方がよい考えを生む確率は高い。また「よし勉強するぞ」という行動する決意を生み出す障壁も低くなる。やる気を出すと考える前に、まずすぐに動くことが、やる気を生み出すコツだろう。

★木下晴弘先生の講演に触れています。
 保護者としての視点で、感動する著書を多数書かれているのでいくつか紹介しておきます。ぜひご一読を。

[巻頭言2022/01より] 高い成果を得るために

Shingaku Express / 誉田進学塾だより 巻頭言より
(2022年01月号)

高い成果を得るために

 「曼荼羅チャート」をご存じだろうか。流行語となった「リアル二刀流/ショータイム」の大谷選手とともにマスコミなどで多数紹介された。真ん中に「ドラ1・8球団」、それの達成に必要な要素を書いた3×3の8マス、さらにその8つに必要なものを書き上げた正方形2重構造で、「運」と「あいさつ」「ゴミ拾い」などが、と言えば「ああ、あれか」とわかった方も少なくないであろう。

あのチャートの考え方のルーツはいくつかあるようだが、一番わかりやすいのは元「日本一」の中学体育教師、ビジネス教育の分野で活躍されている原田隆史氏が目標達成ツール「OW64」という名前で紹介しているものだ。10年ほど前、私達の塾で保護者向け教育講演をしていただいたときにもご紹介頂いた。また例によって楽屋でも「原田メソッド」のお話をお聞き出来、気づきをたくさん頂けたが、有名になり、また著書も多数あるので、チャート自体の話はそれに譲る。

 今回はなぜこのチャートが目標達成に繋がるかの原理的な部分について考えてみたい。まず当然として、必要なものを箇条書きで揃えること、そして日々のルーティンワークとして、その要件をそれぞれ高めていくことが達成につながるのは言うまでもない。またすべてに期限を決めて達成していくことも不可欠だ。

 だが、一番着目したいのは、全体をまず俯瞰し、ゴールから逆算して必要な構成要素へと分解する手順である。これまで、たくさんの生徒や社員を教育してきた単なる経験論だが、日本人の大多数はこれが苦手なのではないだろうか。意識しなければ小さな足元の事柄を集め積み上げることで全体を構築しようとしてしまう。全体から逆算して構成要素へと考えることが少ない。なるほどの側面だ。
何か一つだけやればよいと思う方が楽だが、全ての条件を整えたときでなければ高い成果は得られない。勉強も仕事も同じである。そう信じ今年も進みます。

※この内容は2022/01塾だよりに掲載したものです。
 シーズンなので毎日のように出題されたての入試問題を解きまくっていている。もちろん、正解速報のための援軍。各担当が複数で正解を素早く用意して、受験生の次の受験へフォローするためだ。時間勝負なのでその「助っ人」役。
 大昔は全科目解いていたが、今では数学だけ。その替わり、中学入試、高校入試だけでなく大学入試まで。その中で、ちょっと触れたいのは、中学では、かなり難しい閃きを要求する問題があり、その数学的な本質部分は、大学入試と同じレベルであることも少なくない。例えば、今年の共通テストの数学IAで出題されていた、いわゆる完全順列(攪乱順列)、もしくはモンモール数と呼ばれる問題。この問題自体は中学受験でもほぼ同レベルで出題されていたりする。
 では大学入試と何が違うのかというと、中学入試では閃いて答えにたどり着けば終わりであるが、大学入試つまり数学では、証明が必要なこと。正確に表現するなら、その答えの「十分性」の確認、つまりその答え以外の答えが成立しないことの確認であろう。
 何が伝えたいのかというと、この「全体をまず俯瞰し、ゴールから逆算して必要な構成要素へと分解する手順」の件で述べたのは、「十分性」の吟味ということに一般化できるかもしれないということだ。それが「再現性」を生み出す。
 そういう意味では、高校「数学」を正しく本質を理解し、つかみ取れるまで勉強することは、社会に出てからも非常に役に立つ。

「数学」は重要であることを伝えていきたい。

(原田隆史氏の初期の著書)

[巻頭言2011/04より] 今、私たちにできること

Shingaku Express / 誉田進学塾だより 巻頭言より
(2011年04月号)
今、私たちにできること

 震災で多くの方々の尊い命が失われたことに、深い哀悼の意をささげます。また被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。

 この未曾有の自然の猛威に対して、無力であることを感じるかもしれない。確かに、自分一人ができることはとても小さなこと。しかし、それでも自分の力でできることだけに集中することが本当は一番大切だ。

 子供たちにできることは、今はただ勉強することしかない。でもそれは、次の時代を切り拓く未来の大人たちにとって、その未来のときに力を発揮するためには、必要なことなのだ。今は他に何もできない。しかし次の主役となるときは、必ず順番に巡ってくるのだ。

 そして、その手本となるべき大人たちも、今、自分たちができることに全力を尽くすことが一番大切。その真剣な後ろ姿を見て、次を継ぐ者が育つ。

 どうか保護者の皆様も、自分のできることに精一杯集中し、充実した日々を送っていただきたい。子供たちの行動にあれこれ言うよりも、まずは自らの姿でお手本を示すこと。その姿を見て、子供はいつか超えていく。

 入試についてのまとめの詳細はSpecial Programでご報告します。
 毎年好評の「難関中学/高校受験研究会Special Program」の特別講演。今回の木下先生は、4年前の講演で、保護者の皆様に大きな感動をいただきました。ぜひご両親でご参加ください。

※この内容は2011/04塾だよりに掲載したものです。
 3.11東日本大震災直後の号。
 今のコロナ禍感染拡大の状況も同じような気分。
 直接的な猛威では当時の衝撃の方が強いかもしれないが、この長期戦、そして目の前の子供たちへの環境を考えると、今の方が遥かに厳しい。
 だが、考え方は変わらない。
 やるべきことに集中して精一杯やり遂げるしかない。
 入試後半戦。
 スタッフ一同、頑張ります。

[巻頭言2011/03より] 特別の瞬間

Shingaku Express / 誉田進学塾だより 巻頭言より
(2011年03月号)

特別の瞬間

 この塾だよりが届く頃には、公立高校の後期入試の直前、そして大学入試も終盤の発表待ちの時期となる。

 特別の瞬間、毎年書いているが、大切なことなので敢えて今年も繰り返して書く。入試は受験生にとっては特別の瞬間だ。入試を受けている瞬間、合格発表の瞬間に、人生の運命が分かれたかに見える。しかし本当はそのときだけが特別なのではない。

 人生の運命は、毎日毎日の日々刻々全ての瞬間に少しずつ分岐し続けている。一見単調な、どちらに進んでも大差ないように見えるその瞬間瞬間をどう充実して過ごしたかで、未来が少しずつ変わるのだ。そして差がはっきり見えるまで気づかない。いつでも、今このときが特別の瞬間。二度と帰らない大切な時間であることに気づいて、充実して過ごしてほしい。運命は自らの意思と行動で、どんな瞬間でも常に変わり続けるのだ。

 さあ、塾では新しい学期が始まる。充実した毎日が未来を拓く。後悔することのない一年としよう。大網のみなさんよろしくお願いします!

※この内容は2011/03塾だよりに掲載したものです。
 敢えて繰り返して書いている回。ネタに困って手を抜いているわけではない(苦笑;)。
 とくに私たちスタッフのみならず、教育に携わる人間は、1年周期でいろいろな行事や業務が繰り返しのように過ぎていく。油断すると、つい「また今年も」という気持ちになりがちであろう。
 しかし、子供たちにとっては、二度とない一瞬を毎日過ごしている。人生の中で、どんな瞬間であろうとも、それは取り返すことのできない瞬間のはずだ。
 塾だよりは、保護者の皆さま向けのものであるが、スタッフたちに向けても同じ言葉を、より強く発している。日々の仕事を、繰り返しの「また」の時間と勘違いしてはいけない。子供たちの人生を変えてしまうかもしれない、一瞬の連続なのだ。
 教育の責任は重大だが、だからこそやりがいもある。

 頑張ろう。

(最後に「大網のみなさん」とあるのは、ism大網とpremium高校部東進衛星予備校大網白里校をこの月に開校したからです)
(開校当時の写真)
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[巻頭言2011/02より] 入試は団体戦

Shingaku Express / 誉田進学塾だより 巻頭言より
(2011年02月号)

入試は団体戦!

 入試は中盤戦である。これがお手元に届く頃には、中学入試は都内入試と県内2次、高校入試は私立高校後期入試直前、そして大学入試はいよいよ個別入試がスタートする時期だろう。

 ここまでの入試では、塾生たちは今年も健闘している。きっとこの後、最後まで自分の力を伸ばして、自ら成果を掴んでくれるものと期待している。

 受験生とは言ってもまだまだ心は子供たち。結果に一喜一憂し、つい周りに気を取られて、自分自身の中にある問題だけにフォーカスすることは難しい。そして意思の力、気力を維持することは簡単ではない。ひとりではなかなか頑張れない。だから仲間が大切。一緒に頑張る仲間がいるから元気が出て、力も出る。今年もすでに志望校に合格している塾生も一緒に頑張っている。自分たちの頑張る姿でこれからの入試に向かう友へ勇気を与えるために。

 そう、入試は団体戦。ともに切磋琢磨してきた仲間たちと最後までお互いにエールを送りあうことで、お互いの力がより発揮できる。がんばれ受験生!

 今年も千葉テレビで公立高校入試解答解説の番組を担当させていただくことになりました。少しでも受験生たちへの励みになればと準備しています。ご期待ください。

※この内容は2011/02塾だよりに掲載したものです。
 いよいよ今年も今日で冬期講習最終日。そして入試直前。
 入試の出願状況などのデータも入り始めて、分析などの臨戦体制もスタンバイ。
 ただ、コロナ禍での2回目の入試である。オミクロン株など、心配な要素は少なくない。年末年始の人の動きの影響からか、今日も2500人近くと感染者数急増。なんとか、これ以上の拡大が止まり入試時期を無事になんとか過ごせ、塾生たちが持てる力を思う存分発揮出ることを願う。
 入試を通じて、最後まで諦めずに努力して乗り越える経験を体験し、そして、ともに切磋琢磨する仲間の大切さも知ってほしい。

 頑張れ受験生。

(2011年に撮影した幕張メッセでの市川中学入試当日の様子)
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