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[巻頭言2023/08より] どの山に登るのか?!

Shingaku Express / 誉田進学塾だより 巻頭言より
(2023年08月号)

どの山に登るのか?!

 目標は先に決める。これがものごとを成就させる第二歩目。

 その前の一歩目は、目的意義。つまり、それを「何のために」するのか。これを明確にするのが最初に重要。次は、目標を具体的に「決める」ことである。この目標を正しく決める能力、即ち「目標設定力」がそのあとの行動と成果に密接な関係があることは、ここで何度か書いた(目標は高くなければいなけないが、高過ぎてもいけない。
https://www.jasmec.co.jp/cgi-bin/blog-diary-kanopen0/blog-diary-kanopen0.cgi?no=647

 さて、今回は、先に決めるのはなぜかという話。それはよく「どの山に登るのか?」と例えられる。観光地の山を軽くハイキングするのか、富士登山か、ヒマラヤ最高峰への挑戦なのかでは当然、準備しなければならない装備が異なってくる。どこに向かうのかゴールを先に決めて、そのために必要な準備をしなければゴールには達しない。毎日歩き続けていると、ある日、気がついたら南極点に到達していた、にはならないのだ。先にゴールを決めてから、どうやったらそこに届くかを考えながら行動し続けなければ、ゴールに達することはない。決めることから始まる。

 受験生は(もしまだなら)、自らの強い決断で志望校を先に決めてほしい。なんとかギリギリ届くかもしれないと信じられる上限(根拠は重要ではない)の高いところを、自分の強い意志で決断する。そしてそれに向けての準備に最善を尽くす。ただし、自己選択感がカギ。保護者を含め周りは、決断まで我慢しなければならない。
もちろん、必ずしも挑戦が成就できるとは限らない。が、それでよい。届いた処から、さらに挑戦をやめなければ、きっと同じような高みに到達できると信じる。

(2023年春に卒塾した高校受験生たちの、後に続く後輩たちのために書き記した挑戦へのメッセージの一部を公開しています。ぜひご覧ください。)

天王山を超えろ! (夏)版
https://www.jasmec.co.jp/gokaku/gokakusha/gokakusha-2023-2.htm
桜咲く(春)版
https://www.jasmec.co.jp/gokaku/gokakusha/gokakusha-2023-1.htm

※この内容は2023/08塾だよりに掲載したものです。

 「どの山に登るのか」を先に決めよ、というのはよく引用される話だ。
 ゴールを先に決めてから、そこに立つまでに必要なものをリストアップして準備する。行動によって成果を上げるためには、現状とゴールのギャップを測り、ゴールから逆算して、必要な行動計画を立てることは必須条件だ。ゴールを客観的に見ずに、現状からできそうなことだけを、そのときの気分で進めているのでは、望むゴールには達しない。非常に当たり前のことのはずだが、現実に直面しているときは、そこまで自分を客観的に見ることは難しい。
 受験では、その手がかりになるものが模擬試験であろう。志望校合格に向けて、現状から何をあとどのくらい頑張ればよいのかを分析する大切なツールとなる。視点を時間軸の中で正しく意識して、現在と未来のギャップを測っている数値であることを理解していれば、とても有効なツールのはずだ。
 しかし、多くの受験生たちは、志望校判定の結果ばかりにとらわれ過ぎて、一喜一憂してしまいがちだ。模試の結果は、自分のもともと持っている「固有の」能力の評価ではない。能力は固定した決まったものではない。入試で問われている能力は、努力によって変化する。つまり未来の結果は、現在の努力によって可変である。
それを信じて、今、立ち向かうべき課題を乗り越えていってほしい。

[巻頭言2023/09より] 言うは易く行うは難し

Shingaku Express / 誉田進学塾だより 巻頭言より
(2023年09月号)

言うは易く行うは難し

 今日、盛岡からの帰路車中で考えたこと。

 「私学・私塾教育ひとすじに歩まれた」東北の故理事長を偲ぶ「感謝の会」に参列した。進学塾から出発した学校法人の2代目として、高校の一教諭からスタートされ、私立高校・附属中学校、多数の各種専門学校、幼児教育、日本語教育、国際人財教育、予備校、そして最後は大学までの総合専門教育グループを大きく展開された方。多方面から多くの方が集まり、故人の「楽しく」の言葉通りの会だった。

 帰路で拝読した冊子には、机上に残された絶筆として「熱意、誠意、思いやり、挑戦」「創意工夫」「謙虚さ」「寛容」の手書きメモが掲載されていた。最後の2つについては、それぞれに対する考えの添え書きも。要介護区分が進んでの、亡くなられる数日前まで執務室に向かわれていたとのこと。詰まる思いを感じる。

 これらの言葉は、どれも、よく使われる「良い」言葉であり、誰しもが大切なことだとわかっているものだ。だがそれは、わかっているつもりでも、常にそうあるか、できているか、と問われれば難しい。凡人には、常に言語化して問いを発し続けなければ、実現はできないのではないだろうか。

 大人はそれを、子供に対して、つい強く要求してしまいがちになる。言うだけなら簡単なのだ。しかし強く言い続けることでは、子供の考えを変えることは難しい。自ら気づき欲しなければ本質は変わらない。だからこそ、子供たちに要求するのではなく、自らの行いを振り返り、問い続けることから始めなければならないはずだ。
故理事長は、若き日に取り組んだ格闘系武道からくる脅威による教育を悔い続けていたそうだ。苦労し老成されてからの柔和な表情しか知らずだったので、そのエピソードは少々の驚きとともに聞いた。座右の銘は「感謝に勝る能力なし」で、生かされていることへの感謝を忘れることはできないと結ばれていた。ご縁に感謝。

※この内容は2023/09塾だよりに掲載したものです。

 公式の「お別れの会」が午前中に行われたあと、縁のあった方々への「感謝の会」として開催された。数度しか接点はなかったのだが、ご案内をいただいき参列した。本文の通り、冒頭に「楽しく」との故人のお言葉の紹介があり、その通りの会となった。
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 何年か前に開催された塾業界の勉強会で、訪問見学させていただいたことを思い出す。私立高校・附属中学校の見学だけでなく、多種の複数の専門学校を、直に見学した。専門学校の現場を見ることはめったいないので、とくに興味深かった。東北北部3県の人口で、他の地域では、この規模でいろいろな専門学校を維持することは無理だと紹介されていたが、なるほどと思う内容だった。
 しかし、一番感銘を受けたのは、ご講演の中で触れていた、出発点の塾として創業した先代の志、そしてご自身が、引き継がれたときの気持ちであった。

(そのとき見せていただいた創業時の看板)
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 改めて、感謝とともに、ご冥福をお祈りいたします。

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