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[巻頭言2021/04より] 知的好奇心を生み出す環境

Shingaku Express / 誉田進学塾だより 巻頭言より
(2021年04月号)

知的好奇心を生み出す環境

 学校の新学期が始まる。コロナ禍の中、初の大学入試共通テストや公立高校入試一本化という大きな入試変革の年だったが、大学入試、高校入試ともよい結果を残してくれた(詳しいご報告はそのための機会を用意しています。ぜひご参加下さい)。

 さて、子供の才能を伸ばし、力を発揮するためには、周りはどうしたらよいだろうか。最初が肝心と厳しくし過ぎるのは逆効果どころか取り返しがつかないことにもなる。確かに勉強に限らず、何かを上達習得するためには、正しい訓練をやり続ける努力が不可欠だが、それは好きでなければ続けられない。初めに厳しくし過ぎることで、嫌いになってしまうと、自分から興味を持って取り組もうとしなくなる。すると練習しても効果が薄く、ますます嫌いになる負のスパイラルに陥る。

 では、子供が、関心をもち、好きになるにはどうしたらよいか。
ある本で紹介されていた次のエピソードが象徴的だろう。ジャッキーは非常に若くして母になったため、子供の成長にとても興味を持っていた。幼い頃から発明好きだった息子ジェフがベッドを分解したり、食器棚の扉を糸で結んだりしても叱らず大らかに育てていた。あるとき、欲しがったインフィニティキューブ(知育玩具の一種)を子供には高価すぎると買い与えなかったが、彼女が家の前で友人と立ち話していると、ジェフがきて自分で作ると、その仕組みを詳しく説明してくれた。彼女はたまに質問しながら聴いていたので、彼が戻ったあと、友人が「今の話、全部わかったの」と聞くと、「全部わからなくてもいいのよ。大事なのは話を聞いてやることなの」と答えたという。やがてその息子ジェフベゾスは大学でコンピュータサイエンスを学び就職の後、独立し創業したのがアマゾンドットコムだそうだ。

 親が、子に対して素直に好奇心を持ち、子供の興味関心を観察することが、子供の情熱を伸ばすという。「評価」せず「聴く」ことがそのスタートである。

※この内容は2021/04塾だよりに掲載したものです。
 昨今は、「聴く」ことの大切さは、あちこちで繰り返し説かれている。
 ただ、この自分の考えである「評価」をせずに脇に置いておいて、話し手の話したいことを引き出しながら「聴く」ことに集中することは非常に難しい。
 指導する側がそれだけ難しいのだから、逆の形で、指導される側が 一方的に「聞かされ」て「やらされ」ている状態では、労力に対して、成果を生みだしにくいのは当然だろう。
前向きな気持ちを引き出すように、自然に「聴く」には高い技術が必要だ。

 スタッフ一同、研鑽していきます。