Shingaku Express / 誉田進学塾だより 巻頭言より
(2024年5月号)
適切な負荷
G.W.明け、いわゆる「五月病」のシーズンである。4月に新年度になり、新しい環境への適応に対するストレスが溜まっていく。1か月たち、G.W.の連休で一旦そのストレスがかからなくなり、G.W.明けに、再び元のストレスがかかる状態に戻るときに、悲観的にものごとを捉え、意欲がわかず行動にブレーキがかかる症状。ひどく進むと不登校にまで発展する。ストレスの蓄積がある閾値を超えてしまうことで発症するのだろうか。症状が出てしまうと戻すのは非常に難しく、最後はストレスを一旦全て取り除くなどするが、できるだけ早く専門医などに任せるのがよい。
発症前の予防策ならば、一般にストレスを溜めないこととされている。新しい環境に順応していくためには、そのストレスを取り除いてしまうわけにはいかないので、溜めないように発散を促す行動のいくつかが推奨されている。
しかしながら、ストレスは本人の捉え方次第で影響は大きく変わるはずだ。新しい環境への適応とは、従来の自分の習慣を変えることを要求されることに他ならない。習慣を変えるには、脳に対して負荷をかける必要がある。その負荷を心がマイナスと捉えていることから問題が生じる。この負荷は自分にとって必要なものと前向きに捉えることができれば、マイナスの心を生じにくくなる。だから、周りの「頑張れ」という声掛けは禁物。「大丈夫だよ」と声をお掛けいただきたい。
そもそも勉強、すなわち新しいことを学習するためには、脳に適度な負荷がかかる状態が必要だ。これは習慣を変えることと本質は同等なもの。いやだと思いながら、我慢している状態では、マイナスの負担となり行動が抑制される。脳は負荷を逃がそうと形だけの「学習」もどきに逃げがちだ。脳に適切な負荷をかけて、脳を素早く効果的に適応させることが、学習の成果をうむ。前向きに積極的に、適度な負荷をかけることを掴んでほしい。周りはそれまで「大丈夫」と言い続けよう。
※この内容は2024/5塾だよりに掲載したものです。
「大丈夫だよ」の話は、2つ前に書いた内容に繋がっている。
学習には、脳に負荷をかけることが不可欠だ。
それは、本人の捉え方がカギとなる。脳への負担につながるので、そのまま、いやなもの、やらなければいけないもの、という否定語で捉えてしまうと、行動にブレーキがかかる。効果を上げるには、自分から求めるもの、やりたいこと、という肯定的な好きなものの延長に位置して、自ら負荷をかけることを選択する状態にすることだ。
と、書くだけなら簡単である。実際には、その状態に本人が考え自ら選ぶようにすることは容易ではない。とくにすでにマイナスの状態になってから戻すことは非常に難しい。難しい状態になってしまってからは、一度すべての負荷を取り除きリセットするしかないことが少なくない。
いわゆる五月病や、登校拒否などの、行動にブレーキがかかる状況が発露するよりずっと前に、根から改善するしかない。本人の考え方、捉え方は、直接変えることは難しいので、間接的なコミュニケーションによって少しずつ向きを変えていく。自分なりに、負荷を加減して、かけても乗り越えられるという自信の範囲で、行動し達成することで自信を伸ばすことだろう。
「なんだ、簡単だ」と捉えられるように、前向きな考え方を引き出すような、言葉のかけ方と聴き方を工夫していただきたい。
理解し共感しなければ、プラスの共鳴はおきない。