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[巻頭言2021/09より] 限界を少し超えよう!

Shingaku Express / 誉田進学塾だより 巻頭言より
(2021年09月号)

限界を少し超えよう!

 緊急事態宣言延長の厳しい情勢に対応して、受験生への影響を最小限にするために、全学年に当面の措置を取らせていただきました。これがお手元に届く頃には、また状況が変わり対応も変化しているかもしれませんが、お子様の安全と安心を確保することを最優先に、かつ、この状況の中で学力を最大限に伸ばせるように、可能な限り最速で対応していきます。ご理解、ご協力をよろしくお願いします。

 さて、「1万時間の法則」をご存じだろうか。耳にした方は少なくないだろう。元ワシントンポスト記者マルコム・グラッドウェル氏が著書「天才! 成功する人々の法則(Outliers: The Story of Success)」で提唱した、偉大な成功を収めるには1万時間の練習が必要だという説である。天才は練習によって生み出され、そのために必要な時間が1万時間。数字がわかりやすいためよく知られるようになったが、実はただの長時間練習だけでは天才にはならない、と、この説の根拠になったべルリン芸術大学のバイオリニストの調査論文の著者自身であるフロリダ州立大学心理学部アンダース・エリクソン教授はのちに指摘している。練習時間が重要なのではなく自分の限界を少しだけはみ出す負荷をかける「限界的練習(deliberate practice)」でなければ効果がないというのだ。脳科学では「できないことに挑戦している」ときしか脳は活性化しないし、成長しないことがわかっている。なるほどの理屈だ(ただし現在はその限界的練習についても、メタ分析で効果の有意性に疑問が残るそうなのだが)。

 この夏期講習は受験生にとって(受験生以外の生徒たちも)、自分の限界を少しだけはみ出す大切な負荷だった。感染拡大で後半はその負荷が予定通りではなくなったかもしれない。その分、今までにはない形で負荷をかけて達成してほしいと願う。本物のAi =Monoxer利用の基礎学習は、重要な「即時フィードバック」として大きく機能を発揮するはずだ。その余力を「考える力」の養成に向けてほしいと願う。

※この内容は2021/09塾だよりに掲載したものです。
 これを書いていたのは8月のお盆明け直後である。
 今回の緊急事態宣言もようやく全面解除になった。だが、まだまだ油断できない状況であろう。とくに受験生を預かる立場としては、これからのシーズンこそ一番の注意が必要だ。
 緊急事態中は、人流5割削減の目安を達成することも念頭に、オンライン授業の併用で、なんとか受験生と他の学年を接触を減らすように対処した。
 産業医の病院と相談し早く準備を進めていた社員のワクチン接種も、ご承知のワクチン不足騒ぎの混乱で遅れはしたものの、昨日現在で、1回目99%、2回目も82%まで届き、間もなく全員の接種も終わる見通しまで来た。
 換気については、すでにご紹介した通り、全教室CO2センサーで常時測定、常時換気としている。換気しにくい校舎の改修工事や網戸の増設も完了済みだ。
 冬に備えてできうることは、やりつくしていこうと考えている。

 受験生たちが「限界を少し超える挑戦」を受験直前までできるように、これからが勝負だ。