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[巻頭言2008/04より] 「学力」とは何か?!

Shingaku Express / 誉田進学塾だより 巻頭言より
(2008年04月号)

「学力」とは何か?!

 入試が終わったと思ったら、もう新学期も春期講習となる。学年が変わりテキストも変わり、教科担当も変わると、新たな雰囲気となる。好奇心豊かな顔に応えられるために、スタッフ一同、授業に研鑚していきたい。

 さて、今春の高校入試の総括。この中3たちは、秋口まで仕上がりが悪くとても心配していた学年だ。後半戦は、教室長を陣頭に面談などを通して、生徒たちの自覚を促すように力を注いだ。そのおかげか、ラストスパートではすばらしい追いこみで、最終的には、とてもよい結果に繋がった。(この詳細は「難高研SP」でご報告します。ご期待ください。)

 しかし、この生徒たちの頑張りだけでなく、入試問題の変化も注目したい。とくに公立の一般入試では顕著に表れたと思う。単なる暗記や繰り返しのパターン学習によって習ったことを失敗なく再現する力ではなく、未知なるものを自分で解決する力が求められている。つまり「学んだ力」ではなく「学ぶ力」。これが単なる入試問題の変化ではなく「学力」という見方の変化であることを期待したい。そしてその力をどう伸ばすか。私たちの課題である。

※この内容は2008/04塾だよりに掲載したものです。
 「入試の変化」に触れているが、今から振り返ると、この年の入試が「予兆」だった。問題傾向が変わり、それまでの千葉県の基礎基本中心の出題から、思考力を要求される問題へと動き出した。
 県の平均点は、この年以前は5科目計で300点前後、一番難しかった年でも290点台、易しい年は330点を超え、およそ60~65%程度の問題だった。なおかつ、高い思考力を要求される難問はほとんど出題されず、最難関の千葉高校のボーダーラインは460~470点超となり、ひとつの科目でも、ミスをすると取り返すことができない、ミスをしないタイプの子が受かりやすい入試だった。難関高校では、それを嫌って特色化選抜という入試で、各高校独自問題で思考力を問う出題をしていた。
 それがこの年の県平均点は265.1点(この巻頭言の時点では県は未発表)、千葉高校のボーダーラインも20点強低くなった。
これは、この3年後に変化する前後期制への制度変更への布石であり、翌年の入試では、大きな変化としてはっきり表れ、驚愕の入試となるのだが、まだこの時点では、受験に詳しい塾業界でも、この変化を予測できていたのはほんの一部だけ。ほとんどは、今年は難しすぎたので、来年はまた戻るだろうと思っていた(そのあたりは、またその回で述べるつもりです...)。
 さて、今年の入試、うちの塾では、昨年(前期入試)より平均点は20点程度上がると分析している。大半の問題は思考力が不要の出題へと大きく易化、ただし一部科目の一部の難しい問題だけは、非常に難しいままだった。おそらく最難関高校のボーダーラインはほとんど変わっていないだろう。つまり上下の差が小さくなり、小さなミスが大きく響く入試になったと予想される。
 この変化が、新制度変更のたまたまの余波で、来年以降への「予兆」とならず、再び、思考力、判断力、表現力を要求される問題へと回帰することを期待したい。

 そして私たちは、その力を伸ばすことに集中していく決意である。