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[巻頭言2020/09より] 情熱の共鳴

Shingaku Express / 誉田進学塾だより 巻頭言より
(2020年09月号)

情熱の共鳴

 コロナ禍の中、夏期講習も無事終了し(これを書いているのは夏期講習後半がスタートしたところですが、無事終了を信じ)、いよいよ後期リスタートである。

 さて...。

 今日、出がけに訃報が届いた。小学校高学年2年間を担任いただいた恩師。享年94歳。若かりし頃は長い間、礼を欠いていたこともあったのだが、なんとか昨年5月、お元気なうちにお訪ねすることができた。

 日頃、過去を振り返らない習慣なので、記憶もあいまいだが、社会の授業の印象が強い。その昨年の訪問の際は、以前ご贈呈くださった郷土史研究の著書のお話をお聞きした。90を過ぎても熱心に原稿に手を入れているお姿に感動した。ご本人自身が、それだけの熱意をもって地理や歴史を研究されていたからこそ、教わっていた私たちにそれが楽しく伝わってきたのに違いない。

 自分自身の学問的情熱に、周りを共鳴させ、よい磁場を作り出し、よい影響を与えることができるのが「師」という存在。
学び、成長し、学力が伸びるのは、結局は本人の努力。教え方がうまい、わかりやすいだけでは、必要条件は満たしても、十分条件を満たしはしない。学ぶことの面白さ、楽しさ、そしてその感動を周りに伝え、影響を与えることが指導者の役目。

 自ら燃えるのみならず、周りの生徒を発火させ、情熱にまで燃焼させることができる指導者たちが続々と輩出する環境を目指します。

 そしてそれが、一人ひとりの心に届くまで、スタッフ一同努力します。

 亡き恩師は、担任するクラスの子供たちの誕生日(月?)に、それぞれの個性に合わせた詩を選んで、手書きのカードを作り渡されていた。たぶんクラス全員がもらっていたはず。今でも持っている同級生は少なくない。もちろん私の手元にもある。

※この内容は、2020/09塾だよりに掲載したものです。
 月遅れのバックナンバーです。
 恩師は、私たちが卒業したあと、中学年の担任に移られて、小学校の地域の社会教育の教材の執筆に尽力され、のちに小学校の教頭、校長を歴任され退職。最期まで、郷土史の研究に精力を注がれていた。
周りを共鳴させる情熱が、人を育てるということを改めて、肝に銘じておく。

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訪問したときに、拝見した執筆原稿
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