記事一覧

[巻頭言2012/06より] 閃く楽しさ!

ファイル 608-3.jpg

Shingaku Express / 誉田進学塾だより 巻頭言より
(2012年06月号)

閃く楽しさ!!

 難高研、難大会の合間を縫って「全国模擬授業大会・国際大会」に招かれ、足利まで行ってきた。このイベントは、全国のさまざまな塾の先生たちが模擬授業で授業技術を競い合うもの。他流試合だ。日本最古の学校といわれる「足利学校」にちなんで足利で開催。今回は韓国の先生たちによる英語だけで英語を教えるという模擬授業も行われた。そのプレイベントでの講演と審査委員を依頼されて初めて参加。さすがに全国の塾から塾内予選などで選抜された先生たち、そのトークの技術はなかなかのレベル。短い時間で審査員からの高得点を狙うためのパフォーマンスやサクラの応援などを差し引いても、日頃からよく授業を練りこんで練習しているのがよくわかった。

 しかし、ただ何でもわかりやすくと教え込む授業をするのでよいのだろうか。勉強の楽しさは、自分でわかって閃いたときの瞬間に生まれる。その大切な瞬間を奪い取ってしまって、単なる解法のパターン学習に終始してしまっていることに危惧を抱いた。そして私たちの塾の指導の対話参加型授業のよいところを再認識する機会となった。自分で考え、解決できる人に育てるにはどうすればよいか、さらに研鑚を積んでいこうと決意して帰路についた。

 保護者の役割も大切。難高研AP、これからの皆様、ぜひご参加ください。

※この内容は2012/06塾だよりに掲載したものです。
 全国模擬授業大会に招待されたときのことである。この大会は、このあと拡大して、春に足利、秋に名古屋での年2回の開催となって、コロナ禍での中断はあるが、もちろん今も続く。このときは、ちょうど高校の学習指導要領改革で、英語のオールイングリッシュ授業が注目されていたため、先行する韓国の先生たちを招いての講演とデモンストレーション授業も企画され、国際大会となった。
ファイル 608-1.jpg

 模擬授業大会は、塾・予備校の先生たちの対決の場。ただし模擬授業という形の制約から、導入部分に限られ、さらに得点を競うために、年々見栄え・点数映えを意識した内容になったり、その分、揺れ戻しで厳しめの採点になり戻ったり、と変化しながら継続している。

 初日の、韓国の事情の紹介とデモンストレーションに続いての基調講演に招待された。ちょうどこの頃、あちこちで講演の機会をたくさんいただいた。このときは、学力とは何かというお題を頂戴して、授業をどうよく見せるかより前に、そもそも求める学力とは何であるかが大切だ、という話を実例を紹介しながらお話した。
ファイル 608-2.jpg
(講演台から撮影(笑))

 2日目が大会本選本番。科目別予選と科目別決勝で各チャンピオンを選出、最後に一同集結して、最終決勝でグランドチャンピオンを競う。
 予選から最終決勝まで審査員も担当し、数学の科目別決勝では講評もお話させていただいた。審査員は、朝から夕方までの長時間に渡り多数の授業を集中して見て評価するため相当消耗し生徒の気持ちもよくわかった。そしてその経験を活かして、翌年からは、他の研修担当などのスタッフを送り、そちらに任せることにした(笑)。
ファイル 608-4.jpg
(表彰式での審査員席から撮影(笑))

 さて、審査員としてみていて、やはり一番気になったのは、すでにわかっている解き方や答えを、どう「わかりやすく」教えるかという視点に重心が寄り過ぎている点だ。この「わかりやすく」という意味が微妙で、「わかる」ことを体験させることを「容易」にするのではなく、「できる」ようにするやり方を「わかりやすく」することに主眼が行き過ぎている。いわゆる塾は受験解法パターンの詰め込みとの批判を受けるのはそういうことではないだろうか。
 それに対して、本来の指導は、入試問題を通して、自力で「わかる」ための、メタ認知的な頭の使い方を教えて、そのトレーニングをすることが大切であると考える。
 そこを鍛えなければ通用しない方向に入試問題に進もうとしていることは大歓迎である。それに対して、私たち塾・予備校は、真正面から、求められている学力とはという問題に向かい合った上で、それをどう伸ばすのかの答えを探して、取り組んでいくことを目指すべきであろう。
 ただし、いつもの繰り返しになるが、現状の入試改革が、思考力より、瞬発的な判断力に、ややウェイトが行き過ぎている点は歓迎しないが...。

ファイル 608-5.jpg
3日目、足利フラワーパークや足利学校などに案内していただき歓待いただいた。

[巻頭言2022/07より] 切磋琢磨する場

Shingaku Express / 誉田進学塾だより 巻頭言より
(2022年07月号)

切磋琢磨する場

 先月は、不祥事およびその対応でいろいろとお騒がせしました。社員一同、厳しく反省し、謙虚に一つひとつを改めながら、指導により一層、励んでいきます。今回に限らず、厳しいお叱りを頂くこともありますが、それは、次への改善、改革のチャンスであると信じています。お気づきの点がありましたら、お知らせください。

 さて、先日、他塾の方たちの訪問見学を受け入れた。以前は、頻繁に機会があったのだが、コロナ禍でしばらく停止していたので久しぶりだ。状況が少し好転しているので、いろいろと警戒はしながらも、少し戻した状態。いつも、訪問で驚かれることは、授業中の生徒の様子だ。当然どこでも塾なので演習を中心とした時間は用意はしているが、導入や解説は、一方的に説明を聞くだけのスタイルがほとんどのようで、うちの塾生たちが積極的に楽しく考え発言している姿には驚かれる。

 しかし、それだけでなく私たちが当たり前と思っているような基本的なことに驚かれることも少なくない。今回は、同じ東進加盟校だったので、そこが際立った。もともと東進の全国大会での優秀事例校紹介で、うちのスタッフ研修について取り上げられたことがきっかけとなった。自分たちの常識は、他では当たり前ではない。

 この研修というものも、生徒たちの授業と同じ構図であろう。一方的に聞くだけでは、一時的な効き目があるかもしれないが長続きはしない。最近は、ディスカッションを中心にした研修も流行りではあるが、単なる形だけの自己流の意見主張に留まり教育的成果につながらないことが多い。学校の授業に目立つ班別の話し合いも同様かもしれない。意見を交わすことで相互に刺激しあい一人では閃かない考えを生み出す集団知性は理想だが、それを発揮できる状態にするのは難しい。

 私たちも持続的に成長するために、スタッフ研修も相互に刺激しあう形に変えてきている。漢方薬的な効果だが、やり続ければ大きく成長できる。頑張ります。

※この内容は2022/07塾だよりに掲載したものです。
 経営品質という考え方がある。とくにサービス業では重要であろう。どうしても各事業所、各スタッフ、そして時期や状況での品質のバラつきが生じる。工業製品では、製品の品質管理をきちんとすることで、このバラつきを小さく抑え込む改善をしているのだろう。それに対してサービス業では、この範囲を一定に抑え込むことは、一般に難しい。それでも定型サービスを提供するなら、いろいろと方法論もあるかもしれないが、対人の非定型業務は一段と困難である。単なるルーティンの作業のサービスではなく、顧客の状況に合わせて、一人一人に対応することが求められるからだ。
 教育の分野は、その典型だろう。学校が代表。
 属人的解決方法に頼りがちになり、そのサービス品質は人に大きく依存することになる。また個々の習熟に頼ることになり、生産性も上がりにくい。組織的に、それを一定のバラつきの中に抑えるのがなぜ厳しいかは、容易に想像もできる。学校の先生も大変であろう。
 経営品質管理のためには、教育に携わるスタッフ自体を「教育する」という、メタ構造の教育が非常に重要であると考える。
 いち早く、それに取り組んできた。だが、その過程は容易ではない。一つ一つを改善するとまた次の課題が見つかりという繰り返し。それでも一歩一歩進むしかないのだろう。
 幸い、私たちの塾の目指す教育に信念を持ち、熱い情熱をもつスタッフが揃っている。遠い道程の先には、大きな果実が待っていると信じて、前進するつもりである。

[巻頭言2012/05より]

Shingaku Express / 誉田進学塾だより 巻頭言より
(2012年05月号)

未来は素晴らしい!!

 今年も難関高校受験研究会Special Programにたくさんの保護者の皆様にご参加いただきありがとうございました。竹内先生の講演も興味深かったが、控室での「なべつぐ」先生の参考書の話で盛り上がったことも楽しかった。

 さて、どんな講演会でも、話を聞いてわかったつもりになっただけでは何も生み出さない。日々の実行のみが成果を生む。その意味では一昨年の篠原先生の脳科学の話は、私たちスタッフにとっても非常に意義深いものだった。その後、授業や生徒指導に脳科学の成果をさまざまな形で取り入れてきた。先生の話の中で「ゴールは近い」という言葉が脳には「否定語」として働くというものがあった。否定語は脳にとってブレーキを働かす効果があり、力が発揮できないという実証実験をされたというもの。脳にとっては自分自身の言葉が、一番影響力がある。子供が否定的な言葉を使わないようにするのも親の役割だ。そのために、親ができること、子供に話をするときは、否定批判はしない、常に肯定的に語る、そしてできれば素晴らしい未来を語ろう。

 難関高校受験研究会Advanced Program、難関大学受験研究会も始まる。学年ごとの保護者の役割についてもお話します。ぜひご参加ください。

※この内容は2012/05塾だよりに掲載したものです。
 冒頭の竹内先生とは、この年にご講演いただいたサイエンスライターの竹内薫先生のこと。テレビなどでもご活躍なので、ご存じであろう。当時フジテレビの「たけしのコマネチ大学数学科」という、数学の問題を真正面から取り扱ったクイズ番組が人気だった。クイズ番組などで、算数などが取り上げられることは少なくないが、テレビという構成上の制約のため少々瞬発的な問題がほとんどである。それに対して、この番組は、数学の問題を解く過程を、マス北野ことビートたけし対東大生の形でスポーツの実況中継風に放送し、解答と解説を竹内先生がするという7年半続いた人気番組だった。ただし深夜枠だったが...。
ファイル 604-2.jpg ファイル 604-3.jpg

ファイル 604-4.jpg ファイル 604-5.jpg

 その竹内先生に、子供の勉強法についてご講演いただいたのだが、楽屋で数学の話をしていて「なべつぐ」の問題集の話で盛り上がり、講演の中でもちらっと触れていただいた。「なべつぐ」とは、昔予備校の名物講師だった渡辺次男氏が書かれた「なべつぐのあすなろ数学」という伝説の数学参考書問題集のこと。
個の問題集は受験生時代に使って衝撃を受け、のちに塾で指導する上で大きな影響を受けた。

 コロナ禍で最初の緊急事態宣言のときに、GWをうちで楽しく過ごそうということで、Facebookで「7日間ブックカバーチャレンジ」というのが流行った。自分が影響を受けた本をFB友達に紹介するというもの。そのときにもこの問題集に触れた。以下にそのまま転載。

  • ---------------------------------------------
  • ブックカバーチャレンジ 3/7
    7日分に絞るのは結構厳しいですね。
    なべつぐのあすなろ数学 渡辺次男
    伝説の数学参考書問題集
    受験生当時、これは画期的と思いました。
    解説が、先生と生徒の会話調で進む。
    本は袋とじ。「解けたと思ったらペーパーナイフで切って、次のページへ」など、途中で飽きないような工夫。
    さらに...、できたと思って解答を見ると...
    たまに「答え省略、確かにできたぞという確信ががつかめたらそれで結構」だとか、「上の解には、ちょっとしたミスが2つある。それを発見したら次の問題へ」などという調子
    おかげでこれはかなり勉強した跡。
    新版になって、のちに廃盤。
    新品を1セット買っておけばよかった。
    これには当時衝撃を受け、のちに影響を受けました。
    ファイル 604-1.jpg

    • ----------------------------------------------

     この問題集に影響された同世代の人たちと、ずっと後に出合ったことが少なくない。
     少しでも、そんな影響を与えられるように頑張ろう!

[巻頭言2012/10より] 試行錯誤の経験!!

Shingaku Express / 誉田進学塾だより 巻頭言より

(2012年04月号)

試行錯誤の経験!!

 無事、春期講習が始まった。昨年は震災の影響を受けての新年度、そして春期講習。計画停電の対応に追われながらなんとかスケジュール通りに乗り切った。今年は、そんな心配をせずにスタートを切れたことに感謝。

 これから学校も新学期を迎える。新しい学校への進学、新学年への進級が待っている。未知なるものに挑戦するときだ。初めてのものへのチャレンジは誰でもドキドキする。どんなことが待っているか、期待に胸が膨らむ。その反面、結果が分からない不安も感じるだろう。失敗したらどうしようというマイナスの感情から、新しい一歩を踏み出すことに躊躇するかもしれない。

 それは、正解を選ばなければならないという強いプレッシャーが原因となっていることが多い。しかし、初めから正解が必要ではないのだ。試行錯誤しながら、成功にたどり着くまでのプロセスを体験することに意味がある。子どもたちの人生はまだ始まったばかり。将来の成功のために、今のうちに小さな失敗をたくさん経験してほしいと願う。そして保護者の皆さまも、長期的視点に立ち、結果の正否でなく、間違えても挑戦する気持ちを誉めることにフォーカスしてほしい。まだ新しい春が始まったばかり。

※この内容は2012/04塾だよりに掲載したものです。
 「試行錯誤」は「メタ認知」と関係が深いようである。
 最近の脳科学やAiからのアプローチで、Aiでは未だ実現できないヒトの能力「メタ認知」について少しずつ分かり始めているようだ。
 メタ認知とは、自分の思考や知覚を認知し、評価する能力のことである。例えば、ある事柄について自分は「わかっている」ということが「わかっている」能力、知っている「記憶している」ということを「記憶している」能力である。いわゆる「無知の知」なども代表であろうか。
 メタ認知の能力は脳の働きの中でも、より高度で複雑な働きに対して、大きな影響をもたらす。
 このメタ認知力を高めることに、試行錯誤しながらの学習が効果的なのかもしれない。若いうちにメタ認知を高めることは、瞬発的判断力や、抽象的な思考力などを高めるはずだ。
 新しい挑戦とともに、試行錯誤をたくさん体験してほしい。

 今年の夏も、そんな夏を実現したい。

※この2012年の卒業パーティーの写真より
ファイル 600-2.jpg ファイル 600-3.jpg

ファイル 600-4.jpg

[巻頭言2012/03より] 挑戦 !!

Shingaku Express / 誉田進学塾だより 巻頭言より
(2012年03月号)

挑戦 !!

 新学期である。今年度から中学校と高校が新課程に変わる。教科書も今までより内容が増える。そして、難しさの上限が抑えられていたものが取り除かれる。今までよりは難しくなるが、実は、もともと昔より内容が減らされて簡単に易しくなっていたものが、元に少し戻るだけだ。いわゆる「ゆとり」路線からの回帰である。それに対して、内容が難しくなり「大変だ」という声が聞こえるが、はたしてそうだろうか。

 脳科学によれば、自分のできないこと、難しいこと、できないことに挑戦するときしか、大脳は活性化して働かないしくみらしい。そして試行錯誤の末、それができたときに初めて達成感が得られる。その達成感が次の挑戦するやる気を生み出す。易しいこと、すぐできることばかりやっていたのでは、脳は成長しない。脳科学的には、何がどこまでできるかは問題ではないだそうだ。その意味では、今回の改訂は、難しいことにチャレンジする機会を増やす。せっかくのチャンス、ぜひ悩み考えることで、脳を鍛えてほしい。

 そして、大人たちこそ、今まで得てきたできるもので満足するのではなく、自分のできないものに、積極的に挑戦しよう。大人の姿が素敵でないと、子供たちは未来を素敵に描けない。挑戦の一年の幕開けです。

※この内容は2012/03塾だよりに掲載したものです。
 脳は「怠け者」らしい。「自分では」「できない」こと、「難しい」ことに「意図的に」挑戦してできるようにしていくことで脳は活性化し、成長する。大人になるとだんだんこの挑戦が面倒になり、成長が停滞してしまう。さらに、年齢とともに徐々に認知症などの脳の問題が生じていく。
 この「難しい」がムズカシイ。難しさの絶対値ではない。他人と比べて、難しいことをやっているから、その人の脳はすごいとはならないのだそうだ。その人が「自分では」難しいことをやっているときしか脳は活性化しない。意識して、今できないことに、新しくチャレンジし続けていなければ、脳に刺激を与えられない。毎日の同じ行動の連続が、脳にとっては一番よろしくないということだ。
その習慣を変えるためには、環境を強制的に変化させるのがよいだろう。
 今日から夏期講習である。塾生たちが良い方向へ成長するために、環境を変える良い機会である。

 すべての塾生の「この夏」が、いつか「あの夏」と言ってもらえるように、スタッフ一同頑張ろう。

※ この年は春に東進の先生を招いての特別公開授業を連続で開催している。
写真は数学の志田先生と英語の今井先生。
コロナ禍で、しばらく特別公開授業もやっていない。再開できる日が待ち遠しい。

ファイル 598-1.jpg ファイル 598-2.jpg

[巻頭言2012/02より] 入試は団体戦!!

Shingaku Express / 誉田進学塾だより 巻頭言より
(2012年02月号)

入試は団体戦!!

 入試序盤戦が終了した。県内中学入試、県内私立高前期入試、大学入試センター試験が終了。これがお手元に届く頃には、都内中学入試と県内2次、私立高校後期入試、そして大学入試個別入試がスタートする時期だろう。

 今年も、塾生たちは健闘している。まだ十分に力を発揮できていない生徒もいるが、一番力が伸びるのは入試を受験している最中だ。厳しい経験を通して成長する。きっと最後まであきらめずに自分の力を伸ばして、自らの手で、成果を掴んでくれるものと期待している。

 去年も書いたが、入試は団体戦だ。諦めずにやり続ける意思、頑張る元気、気力を維持することは簡単ではない。心はあまり強くない。ひとりではなかなか頑張れない。頑張る仲間がいるからいつも近くにいるから、元気が出て、力も出る。自分たちと同じ努力をした仲間たちが、第一志望校に合格したという自信。そして合格しても、これからの入試に向かう友へ勇気を与えるためにまだ頑張る姿。ともに切磋琢磨してきた仲間たちと最後までお互いにエールを送りあうことで、お互いの力がより発揮できる。がんばれ受験生!

 さて、今年もやります! 千葉テレビ公立高校入試解答解説の番組をまた生放送で担当させていただくことになりました。少しでも受験生たちへの励みになるよう準備します。ご期待ください。

※この内容は2012/02塾だよりに掲載したものです。
 本題内容は、例によって、時期外れの内容である。
 ところで、この号の塾だよりには、危機管理の研修について掲載されていた。
ファイル 597-1.jpg
 以前、消防署の協力・指導の下、火災訓練・避難訓練などについて書いたことがあったが、このときは、警察署の協力・指導の下、危機管理の研修を行った。
 万が一の事態に備えて、さまざまな研修を行った。写真は、暴漢が侵入たときの対応。サスマタの使用方法のレクチャーと実演(さすがに10年前、仮想暴漢役が若い!(笑))。
ファイル 597-2.jpg

 大切な子供たちを預かる立場、想定される事態に対して、万全の対策を準備しています。今回のコロナ禍も、その日頃の準備や体制作りによって、素早い対応ができたと考えています。
 これからも、さらなるリスクが見つかれば、すぐに準備していきます。

[巻頭言2012/01より] 磁場!

Shingaku Express / 誉田進学塾だより 巻頭言より
(2012年01月号)

磁場!

 塾業界の会合はもちろんだが、異業種の方などが集まる経営者セミナーや勉強会にもよく参加する。規模の大きいものでは千名規模。年に一度は3千名が出席する会にも参加する。そのような会では、参加者同士の意気込み、志によって場の空気感が変わる。まるで一つの大きな磁場が働いている空間、瞬間を体験するようなときがある。

 入試が近づいてきた受験生たちが塾で必死に勉強しているときも、ひとり一人の頑張る気持ちが全体として大きな磁場となっている。個別指導の塾を経営している方々が(業界も注目するような個別指導塾の経営者たちだが)口をそろえて個別は伸びないという(もちろん大きな声で表だって発言はしませんが...)、最大の理由ではないだろうか。ひとり一人にカスタマイズして効率よく対策しているように見えるかもしれないが、問題を根本的に解決するのは、どう対処するかではなく本人が解決しようとする意気込みだ。そしてそれはともに同じ目標を目指す仲間たちと切磋琢磨することで磨かれる。

 ご家庭でも保護者自身が自ら何かにチャレンジする志をお持ちいただきたい。子供が、未来が素敵だと信じられるような磁場をともに作りましょう。

※この内容は2012/01塾だよりに掲載したものです。
 成果は、心×質×量で決まると考える。これは勉強だけでなく、人の為すあらゆる行為に対しての公式ではないだろうか。
 この中で心の成長を促すことが一番手間と時間がかかる。だが、一たび心が大きく伸びれば、成果は飛躍的に高まる。
 この心を磨くことに対して、集団による場の力が大きな力を呼ぶということかもしれない。一人では一人の成長の分しか伸びることができない。お互いによい影響を及ぼす集団の中では、一人の心の成長が周りの成長を促す。そしてその影響をうけて成長した周りから、逆に影響を受けかえして、また成長する。成長の連鎖反応が起きて、幾何級数的に増大するということなのだろう。
 子供たちが切磋琢磨することで、よい成長を促す強い「磁場」が作れるように、その磁場を作るスタッフたちが強い信念で仕事に向き合えるような「磁場」をつくることが使命と考える。
 夏期講習直前だ。今年の夏が熱い夏となるように、頑張ります。

[巻頭言2011/12より] 挑戦は、いつからでも

Shingaku Express / 誉田進学塾だより 巻頭言より
(2011年12月号)

決断!

 お恥ずかしい話なのだが、学生時代にサボったツケがまだまだたくさんある。もちろん遠回りした分だけ別の経験となり、それが結局は今に活きて繋がっているので後悔ばかりではないのだが...。

 大学で学んだ数学や物理の中で、理解を伴わずに、とりあえず単位をとるためだけで通過してしまったものはとくにすっきりしない。心残りのものが少なくない。つい先日のこと、ちょっと前に気になって購入した物理数学の本を寝る前に手に取ってみた。すると、パラパラと数ページ読み進んだだけなのだが、長年のもやもやの向こうにあったものが、はっきりと姿を見せた。数式の背後にあった感覚的な理解がつかめた瞬間! なんだそういうことだったのか。それを早く言ってくれ、とスッキリ爽快感。

 挑戦は、いつからでもできる。Samuel Ullmanの「青春とは人生の一時期のことではなく心のあり方のことだ」の一節で始まる「青春」という詩を連想した。

 保護者の皆様も、子供たちに諦めずに挑戦する勇気を、身を持って示していただきたいと願う。

※この内容は2011/12塾だよりに掲載したものです。
ファイル 593-1.jpg
 という式である。
 11年前のある日のできごとだ。
 このときの話は、このあと何度かあちこちで書いたり、話したりしたことがある。それだけ強烈な記憶に残った。
 ベクトル解析という分野の中の基本的な式だった。他の式(演算子といってdivやgradや∇(ナブラ)などが出てくる)はなんとかわかった(つもりだった)が、この式だけ物理的なイメージが掴めない。真ん中のマイナスがとくに曲者で、その根本的な意味を理解できなかった。もちろん授業に出て、真面目に勉強していればわかったのかもしれない。周りの友人たちに聞いたが、少なくとも彼らもわかってなかっただけでなく、そこはいいからさっさと勉強して単位とろうぜなどと忠告された(苦笑;)。結局諦めて、そのまま単位を取るため試験勉強だけとなり、幸い再履修にならない程度の点数だったのだろう。そのまま過ぎ去って忘れてしまっていた記憶。
 数十年のときを経て、たまたま立ち寄った神保町三省堂書店本店。上から下まで、隈なく見て歩いていたときに、2011年9月21日発刊とあるので、その直後だったのだろう。平積みされていた「物理数学の直観的方法―理工系で学ぶ数学「難所突破」の特効薬〈普及版〉(長沼伸一郎著)」というブルーバックスに出会った。
 そのまま積んでおいた数日後、何気なくパラパラみていて、このときの記憶がよみがえり、数ページ読んだだけで氷解した。なんだ、そういう意味だったのかと。このときに感じた爽快感こそ「わかった」の瞬間。学びの楽しさの本質ではないかと考える。
 そんな体験を子供たちに伝えていきたいと願う。
 頑張ります。

 ※この話は、あちこちで話してきているが、今まで、この式の中身にまで続けて聞かれたことがないのが残念...。
 興味が湧いた方は、以下の本をお読みください。
 (ただし理工系出身で、分からなかったままにしたという体験者しかわからないかもしれません。また、最近の大学の教科書は昔と違って、わかりやすいものがいろいろ工夫してでているようです。)

[巻頭言2022/06より] 感謝の気持ちで

Shingaku Express / 誉田進学塾だより 巻頭言より
(2022年06月号)

感謝の気持ちで

 ネガティビティバイアス(またはネガティブバイアス)という言葉をご存じだろうか。脳に対して、否定的なマイナスの情報と、肯定的なプラスの情報を与えた場合、マイナスからの影響をより強く受ける人が多いのだそうだ。そして一度どちらかの影響を受けた状態になると、同じ種類の情報により敏感に反応するようになるという。つまり始めから負の情報に反応する率が高いので、それがそのまま偏って蓄積していきやすいということになる。また先に良い情報を与え、あとから悪い情報を与えた場合と、悪い情報を与えてから良い情報を与えた場合を比較すると、どちらも悪い情報に対して、より強く反応することもわかっているそうだ。悪い噂ほど広まりやすいと言われることなどや、子供に対して、良いところよりも、悪いところが目につき、つい過剰に反応するというのも、その例だろう。

 これは脳の中心付近にある偏桃体という部分が関与して、もともとは危険な状態に強く反応して回避することで生存確率を上げるために発達したのだそうだ。

 研究によると、ネガティブな感情が偏桃体を活動させて、脳にブレーキをかけることもわかっている。「否定語は使わない」という話を、この巻頭言で繰り返し取り上げてきたが、そこにも通じるのだろう。

 これ対して、意識的なポジティブシンキングが有効であると言われている。ただし、いわゆる楽観主義と混同してはならない。「このままでもなんとかなるだろう」という楽観的な意識では脳は行動を選択しない。「自分で頑張れば、なんとかなるはずだ」という意識をもつことがネガティビティバイアスを抑制する。

 そして感謝の気持ちを持つことも大きな効用があるそうだ。確かに謙虚に感謝することで、他者への負の感情を抑えるというのは納得できるだろう。ということで、いつもこの巻頭言をお読みいただきありがとうございます。頑張ります。

※この内容は2022/06塾だよりに掲載したものです。
 脳科学に基づく話は、このコラムでも繰り返し取り上げてきた。また「否定語は使わない」という話も同様である。
 後半のポジティブシンキングや楽観主義の話について、考えてみよう。
 いわゆる悲観主義のよくない点を集約すると、「自分で頑張って(行動して)も」⇒「駄目だろう」というところであろう。これでは「行動」する意欲を生み出されないことは言うまでもない。
 それに対して、ポジティブシンキングがよく機能するのは、「自分が頑張れば」「よい結果になるだろう」という「自己有用感」が自発的「行動」を促すからだ。似て非なる、いわゆる楽観主義のマイナスは、「自分で行動しなくても」「なんとかなるだろう」という、他力本願な考え方に支配されて「行動」する意欲を生み出さないから、と整理すればわかりやすいかもしれない。
 保護者や指導者は、これらを正しく理解して子供に接する必要がある。ただ、子供には「理屈」だけを言っても簡単には伝わらない。正面から正論を伝えるためには、その前にたくさんの努力が必要だ。
 そして、保護者にしかできないこと、指導者にしかできないことの違いも存在する。指導する者が、その力を十分に発揮するためには、保護者の理解と協力が欠かせない。スタッフたちが、指導者として傲慢に陥ること、感謝を忘れずに指導していくよう導いていきたい。
 ということで、いつものこのコラムをお読みいただきありがとうございます。

[巻頭言2011/11より] 決断!

Shingaku Express / 誉田進学塾だより 巻頭言より
(2011年11月号)

決断!

 中3の受験面談のピークの時期だ。高校部でも高1・2の三者面談が始まっている。面談で重要視しているのは本人が自分自身で考えて決めること。保護者の皆様には、その本人の決断のときに、そばでそっと付き添っていただくように、ご協力いただいている。

 成果を達成するには、行動しなければならない。そしてその行動を始めるためには、決意する、自己決定感が重要だ。やる気と自己決定感には大きな相関関係があるといわれている。いつまでに何をどれからどのようにやるのかを、本人が主体性をもって決めることが、やる気を生み出す。ああしろ、こうしろと命令されると、自ら決める余地がない。決められてしまい自己選択感がないと、やらされているという強制感を感じてやる気を失ってしまう。

 できるだけ失敗させまいと、横から最短距離を指示してしまうことが結果としてやる気を奪うことになる。本人の試行錯誤の余地がなければ、やる気は生まれない。決断するのは本人。決断するという行為が完了することで、意思が生まれる。そしてその決断する機会を増やすことだけなら、周りの力でもできる。保護者の皆様の理解と協力が欠かせない。

※この内容は2011/11塾だよりに掲載したものです。
 「自己選択感」「自己決定感」は、やる気を持続するための重要なキーワードである。自発的なやる気を持続し続けるには、内発的動機がカギということだ。
 指導する側、もしくは親が、早急に結果を求めようとすると、強制的に勉強させようしてしまう。この短絡的な選択は、一時的、短期的な効果しか得られない。いやいややらされていることは、脳が常に早く拒否しようとするからだ。
 小学生の間はそれでも大人と子供の力関係で続くことがあるかもしれないが、中学入試で、誤って過度な圧力をかけた状態が続くと、ストレスで様々な悪影響がでることが少なくない。また、中学生後半になると反抗期がピークになり親子の衝突が起こる。
ありがちな、目の前の成果だけを求めるスタイルの塾で行われている指導では、結局、一時的な効果は、長く続かないだけでなく、長期的に見れば大きなマイナスになるのだ。
 それに対して長期的な展望をもち、成長を促すことは非常に手間がかかり遠回りに見えることが多い。だが、その漢方薬的な処方箋が、時間をかけ続けていると、どこからで大きな突破力を生みだし、飛躍的な成果になる。
 私たちは小中高と一貫した教育の現場で、それを実感し、常に改善改良を続けてよりよい方法論を求め続けてきた。まだ究めるには道は遠く険しいが、挑戦し続けていくつもりである。