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[巻頭言2012/12より] 悲観 to 楽観!

Shingaku Express / 誉田進学塾だより 巻頭言より
(2012年12月号)

悲観 to 楽観!

 今年も早いもので、もう年末である。房総半島は、日本で一番紅葉の遅い地域なのだそうだが、その季節ももう過ぎつつある。

 ところで、紅葉の名所は、夏は暑く冬は寒い、気候の厳しい場所だ。厳しい気候を過ごすことで、色鮮やかに秋を彩る。

 受験勉強も同じところがある。厳しい努力を積み重ねた者だけが、充実した結実のときを迎える。結果を残すものは常にストイックだ。厳しく自分を追い込むことで、はじめて自分自身を磨くことができるのだ。たぶんできるだろう、なんとかなるだろうという甘い予断は禁物、必ず最後には失敗を招く。準備のときは、最悪の悲観的な予測に基づいての準備が必要だ。

 しかし、いざ本番に挑戦するときは、悲観的では持っている力を発揮することができない。ひょっとしたら失敗するかもという感性的な不安が少しでもあると、それが失敗を招き起こす。必ずできる、成功すると信じている状態でなければ、うまくいかない。しかもそれは、信じていると頭で考えているレベルではまだ足りない。潜在意識で確信している状態までいきつかないと最大限の力は出ないのだ。そして、そのコツは本番でしかつかめない。

 いよいよその本番の挑戦の時期が近づいてきた。今は最悪の状態からでも力を発揮できるように、最後の準備のとき。もっとも悲観的な条件を想定して精一杯、準備しよう。

 冬来たりなば、春遠からじ。

※この内容は2012/12塾だよりに掲載したものです。
 毎度の季節外れである。話の流れなのでご容赦いただくとして...。
 何度となく繰り返し取り上げてきた「長期的楽観と短期的悲観」がテーマである。いわゆる「ストックデールの逆説」である。
 (ストックデールの逆説については、過去の当ブログ記事を参照ください)
 http://www.jasmec.co.jp/cgi-bin/diarykan/diary.cgi?no=446

 たくさんの経験を積み重ねてきた大人は、子供に対して、つい、目の前の「短期的悲観」を認めさせようとしてしまう。厳しい現実に直面していることを認めさせようとして、つい現実を「否定」する言葉がでてしまう。すると、子供は自己防衛として、逆の反応を起こす。親はそれに対して、さらに否定しようとして、衝突が起きる。ありがちな構図であろう。
 親の考えが「正しい」ことを主張しても問題は解決しない。親がするべきことは、子供の「考え方」を正しい方向に導き、子供の「行動」を変えることである。
 そのためには、「肯定」から入る方がよい。子供の「未来」を強く肯定し、子供が自身でそこに進みたいという気持ちを強く引き出すことだ。それから、そこに至るまでの経路を考えさせて、現実を見つめさせるようにするのがよいだろう。そうすれば現実を正しく悲観的に評価できるようになる。
 過去を否定することで現実を悲観的にさせるのではなく、未来を楽観することで、現実を悲観的に評価させるというべきか。
親の心得、指導者の心得として「長期的楽観と短期的悲観」の順で考えるべきあり、「短期的悲観と長期的楽観」の順ではない、としておく。冒頭の本題のタイトルも「悲観 to 楽観」は不正確で、正しくは「form 楽観, 悲観 to 楽観」とするべきか。
 子供たちが、常に明るく前向きに、夢と希望を抱いて、素直な心で進んでほしい。

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