Shingaku Express / 誉田進学塾だより 巻頭言より
(2024年6月号)
楽しく学ぶではなく、学ぶこと自体が楽しいに
毎年恒例の東進衛星予備校全国大会に参加した。加盟校1000校余りから各部門で優秀な成績を上げた校舎が招待されるもの。最優秀・優秀合わせ9名の表彰招待をいただいた。最優秀事例発表も壇上でさせていただいたので、最後の懇親会では、多くの全国の皆様と情報交換ができた。塾生たちの頑張りの成果と感謝します。
さて、その中で出た話題から一つ。たくさんの生徒がいれば、当然、初めから高い得点の生徒とそうでない生徒がいる。そうでない生徒の学力をどう伸ばすか、という課題だ。いろいろな意見があるのを、極論を承知で大きく括ってしまうと、高校生の場合、多くは勉強に対する「型」ができていないということになるだろう。
学力を向上させるには、この「型」を作るという基礎が大切である。だが、それが逆にブレーキとなってしまうことが少なくない。なぜなら、重要なことは「型」ではなく、脳に適切な負荷をかける「型」を作ることだからだ。
例えば、暗記するとき、じっと見て覚えるinput型の学習は非常に効率が悪い。だから書いて覚えるという、負荷を要求する「型」を作ろうとする。型を作ることは、習慣化を意味するので、適切な指導者でないと型の強制になってしまう。早期の結果を求めた無理な躾けは、脳が、書くことに対して負荷が少なくなるように頭を使わない方向に習慣化してしまう。高校生からこれを修正するのは難しい。
やはり小中学生の初期に身につけるのが理想だ。ただし、前提として、自ら求め負荷をかける「心」にしなければできるようにならないのだが、どうやら適切な指導者でないと、短絡的に「心の指導」とし、型にはめようとしてしまうようだ。
とくに初期段階で大切なのは、学ぶことを楽しいと感じる子に育てること。ただ授業が楽しいでなく、学ぶことが楽しい、難しくてもわかってできるまで学び続けることが楽しい。そんな指導ができる指導者を育てるよう研修に力を入れます。
※この内容は2024/6塾だよりに掲載したものです。
自分から進んで「脳に負荷をかける」トレーニングを選択するように育てるにはどうしたらよいか、繰り返されるテーマであろう。
当然、年齢、成長の段階によって異なる対応が必要になる。適切な年齢で適切な育て方をしていないまま間違った癖がつくと、後から治すことはより困難になる。高校生になってから修正できる要素は多くはなく、労力は非常に大きい。
本文では、「心」の指導と書いているが、その要因は多岐にわたりすぎて、最適解を簡単に探すことはできない。試行錯誤の日々である。
それでも、本文冒頭に書いた通り、私たちの大学受験部は好結果を、一定の数値としてあげるようになってきている。経営品質、再現性という観点でチャレンジしてきたからだ。
まだまだ考えている理想には程遠いが、この表彰を糧に挑戦を続けていきたい。
(業界誌に、当日の簡易レポート記事があります)
⇒ http://www.randomwalk.jp/kan/