記事一覧

[巻頭言2023/11より] 文化の秋

Shingaku Express / 誉田進学塾だより 巻頭言より
(2023年11月号)

文化の秋

 9月下旬、秋田に出張した。懇意の東進加盟校に、教務スタッフ3人を同行し訪問、担当の責任者の方たちと意見交換・情報交換。翌日、県立国際教養大学を見学、入試担当者の方から丁寧に説明していただく。3人を先に帰した後、当地開催の全国の有力塾経営者との勉強会に参加。さらに翌日、地元で一番勢いがあると紹介していただいた新鋭個人塾見学と、充実の3日間だったが、今回の本題ではない。

 その帰路での余話。実は知る人ぞ知るが、塾業界の『鉄人』を自称している。鉄人といっても、鉄道ファンという意味(笑)。鉄道マニアには、撮り鉄、乗り鉄、模型鉄など、いろいろなジャンルがある。だいたいその全部の「ゆる鉄」である。当然、新幹線で往復。行きは、田沢湖線区間の川沿いの渓谷を覗き込んだり、鳥海山は見えないかと探したりと車窓を楽しんだ。さて、帰路の秋田-大曲区間。ここは、進行方向が座席と逆向きで、それだけでも興味深いのだが、この奥羽本線並走区間の3駅間だけ新幹線と在来線共用で線路が3本になる区間を生で見たいと必死に車窓を見ていたら「建築限界測定車」回送列車という非常に珍しい列車を並走して追い抜くという大変貴重な場面に遭遇した(マニアックな話題で恐縮)。

 地理が好きだったのは、鉄道趣味や旅行(時刻表での空想も含む)が好きだったからか、その逆か。地図帳の資料の図や写真を眺めるのが好きだった。小さい字の解説も隈なく読んでいた。必要な知識として暗記するためでなく、純粋な興味で読んだから楽しかったのだろう。分厚い参考書も読み物として読んでいた記憶。そして苦にせず、いつの間にか覚えてしまった。同じように歴史や理科の資料集も。そのときはすぐに役には立たずとも、どこかで結びつき、ああなるほどと知識が繋がる。

 知的好奇心こそが興味を育て、興味も広げる。せっかくの文化の秋。受験生ならやむを得ないが、日常を少しだけ離れ、未知なるものへの体験に出かけてほしい。

※この内容は2023/11塾だよりに掲載したものです。

 未知なるものと出会い、それを知ること、体験すること、それらの素朴な感動が、学びの原点であろう。それらを自ら求め学ぶことが、昨今の探求型学習の理念に他ならない。
 初期の段階では、様々な面で、知的好奇心を育てるように、そして感動の芽を育て、面白さを伝える役割を誰がどう果たすかが大切だ。自分から気づき、面白いと感じるまで、そのタイミングを待ち、よく見ながら寄り添う必要がある。単に効率よく型に詰め込んでしまうことは、逆効果となる。
 しかし、二段階目では、高度な先のレベルを体感できるように導く存在も大切だ。
 教育も、きちんとした体系的な比較対照実験から、方法論を科学的に導き出せれば、大きな前進があるだろうが、国家的規模でとなると賛否を伴うだろう。
 まずは難しいことを考えずに、大人も学びの原点の好奇心を失わないために、日々の習慣にはない、未知のものとの出会いに向けて行動しよう。楽しいどうかは、結果として決まるのではなく、楽しいと思って行動することから決まるはずだ。
 大人の休日が、ワクワクする日となりますように。

これが3線区間! マニア以外は何が面白いかわかりません...
ファイル 691-1.jpg

いわゆる「萌え」ポイント
ファイル 691-2.jpg

超マニアックで、レアなシーン「マヤ返却回送」
雨粒だらけの新幹線の窓越しで残念...
ファイル 691-3.jpg