Shingaku Express / 誉田進学塾だより 巻頭言より
(2014年08月号)
数値の役割
夏期講習前半が終了したところである。
先日、経営者の勉強会で出張の際、視察ツアーがあった。その中で、パイロット訓練用飛行機の展示があり、コックピットに座ることができた。たくさんの計器がある。当然、ちょっと説明を聞いただけでは何が何だかわからない。
パイロットはこのメーターを全て見て、操縦の判断をする。飛行機を、意図した通りの正しい飛び方にするためには、この数値の読み取りと判断に、高い精度が要求されるはずだ。おそらく、研ぎ澄まされた神経で、一つひとつの数値を常に意識しているので、少しでもおかしい数字があれば、ピンとくるに違いない。まるで数字の方から飛び込んでくるような感覚なのではないだろうか。
勉強と試験の関係も同じだ。試験は、それまでに努力した結果の分析をするためにある。大きな模擬試験だけでなく、どんな小テストでも、どの科目の、どの単元の、どの部分に改善すべき課題があるのかを見つけることができる。そして、なぜ失敗をしたのかという、自分の中の原因を探し出す。最後に、それをどうすればできるようになるかの解決への対策を考える。一番大切なのは、その最後の部分だ。対策は、できるだけ具体的な実行可能な行動によって解決できるものでなければ、成果を生み出さない。そして、その行動を実行し続けなければ達成できない。
勉強の場合、点数の結果の正否ばかりを追求しがちではないだろうか。パイロットはメーターをみて、数値がいいか悪いか評論することはない。すぐに操縦レバーを動かして適正な方向に操縦するはずだ。重要なのは軌道修正するアクションだ。夏期講習後期に向け、軌道修正の貴重な時間としてほしい。
※この内容は2014/08塾だよりに掲載したものです。
例によって時期外れの夏の時期の話である。
受験生なら、ちょうど、夏明けから模擬試験の数値に一喜一憂する時期が始まる。そして晩秋が近づいている今頃はそのピークであろうか。よい結果がでていれば安心もするが、芳しくない結果の場合、間接的にしかタッチできない保護者はイライラが募る。ついつい厳しく口をはさみたくもなろう。
だが、間接的な立場としての役割を忘れてはならない。途中経過の数値がいいか悪いかを議論したり評価するのが役割ではないはずだ。
本人が、現実をより客観的に厳しく見つめて、自己分析をし、次へ向けての改善をより具体的に考えるために、数値を利用しなければ意味がない。
一番大切なことは未来に向かう気持ちである。
こう考えると、保護者は、子供の未来に向かう心を引き出すことが大きな役目となる。「次は何点にしたい?」「何をやれば届くと思う?」「いつまでにそこまで行きたい?」というような、前向きな気持ちを引き出すコミュニケーションを試みてほしい。自らの意志で選択した行動ほど、実行する確率は高くなる。そのために親の考えを押し付けるのではなく、子供の気持ちや考えをよく聴く努力をお願いしたい。
厳しい現実に対峙させようと、過去を評価する話ばかりにならないように気をつけていただきたいと願う。失敗したことは、それをやった子供自身が一番よく知っているはずだ。