Shingaku Express / 誉田進学塾だより 巻頭言より
(2013年10月号)
見える化
受験生は、模試シーズンである。連続していろいろなタイプの模試を受験し、結果が返却される。だが、その結果に一喜一憂してはいけない。
模試の一番の目的は現状把握。志望校判定はとても気になるものだが、それは過去の努力の結果である。
大切なことは未来への今の行動。まず現状を客観的にしっかり見つめる。決していやなことに目をつぶってはいけない。まずしっかり見ることが出発点。そして次にゴールの位置を明確に掴む。志望校合格に必要な得点まであとどの科目、どの分野、単元を何点伸ばせばよいか、具体的に分析する。最後に、それを達成するのに必要なことは何か、具体的な行動に分解する。やるべき課題としてできるだけ具体的に細かく分解して、日々の行動に落とし込む。このときに忘れがちなのは期限。日付の期限をつけて、日数で「割り算」して時間当たりの量に、行動を分解する。
模試は、単なる「評価」ではない。具体的な行動を引き出して初めて意味を持つ。そしてその行動は、自らの意志で「自己選択」した行動であり、必ず「できる」と潜在意識で信じられる「ぎりぎり」の上限に設定したときに、いちばん力を発揮できる。このとき、できるだけ明確にゴールが見えて描ければ描けるほど実現の可能性が高くなる。
親が手伝ってやれることは、わずかしかない。私たちが手伝えることもわずかしかない。最後は本人の学びに対する意識。
その原動力に点火できるようにスタッフ一同全力を尽くします。
受験面談が始まりました。ご協力よろしくお願いします。
※この内容は2013/10塾だよりに掲載したものです。
「目標」を具体化する。成果を掴むためには、非常に大切な考え方だ。
だが、それ自体は簡単で、実践が難しい、と感じる方も少なくないかもしれない。はたしてそうだろうか。実践が難しいのは「目標」の問題ではないだろうか。
日本語は曖昧な言葉なので、目標というと、ゴールの「場所」の設定だと勘違いしやすい。ここでいう行動によって成果を実現するために必要な「目標」という概念を表すには、それだけでは定義が曖昧で、成果にはつながらない。
まず第一に、ゴールは期限が決まっていないと有効ではない。「場所」と「時間」の両方が揃って初めて機能する。ここまでがゴールを明確にする段階。もちろん、どこに、いつまでにと決めるか、という「目標設定能力」が大切なのは言うまでもないが、それは、また別の回に。
これだけで「目標」をたてたと思い込みがちだが、ここまでだけでは「目標」は機能しない。単にゴール地点が決まっただけである。
次に必要なことは、そのゴールに至るまでの行動「計画」を立てること。ただし、この計画は、ただ、こうしよう、ああしようという感覚的なものでは役に立たない。ゴールから逆算して、必要な要素に分解し、ゴールと現状のギャップ(差)を測り、課題を明確にして、それを解決するための具体的な行動計画に分解し、最後に、期限までの時間で割り算して、日々の行動までブレイクダウンする。ここまで具体的な計画を立てて、初めて「目標を具体化」したことになる。その具体化した行動計画だけで、成果の実現に対して、必要十分性を満たすかまで検証しておくと、さらによいだろう。
だが、「目標」は、それだけでは実現しない。ゴールに行きたいという気持ちを大きく抱いて、実践し続けるためには、日々の努力が、どれだけ前進したかが体感としてわかること、フィードバックが必要である。「見える化」は、その進捗状況を常にリアルタイムで体感するためのツールであろう。「見える化」は、「目標」と対で初めて機能する。
ちょうど、本題の時期と同じ時期である。受験生にとっては、ラストスパートに向けて、まさに「目標を具体化」し、実践し続けることが重要な時期だ。また他の学年も、毎日を、日々の惰性にゆだねることなく、次の学年に向けた行動の指針を決めるべき大切な時期だ。
迷う気持ちを振り払い、「目標」のための具体的な「行動計画」の「実践」に集中して、ゴールを実現してほしいと願う。