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[巻頭言2021/10より] 両極端を併せ持つ

Shingaku Express / 誉田進学塾だより 巻頭言より
(2021年10月号)

両極端を併せ持つ

 9月初め、社団法人全国学習塾協会と語学、音楽、スポーツなどの民間教育主要団体、関係4省庁、アドバイザリーボードの感染症専門家の方たち、日本小児科学会、日本小児科医会それぞれの幹部の医療関係者たちを集めた、学習塾での感染防止に関する会議がオンラインで行われた。夏期講習前後に起き報道された塾でのクラスター情報を共有し、協会ガイドライン改訂などに対する医療関係者からの意見を聞くことが中心だったが、医療関係者の皆さんの使命感が非常に高く、予定時間を大幅に超過するものだった。幸い、その場に参加でき貴重なお話をお聞きすることができた。おかげで必要な措置のうち追加が必要なことはいち早く対処できた。

 さて、その中で感じたこと。一般に問題が生じた場合、その状況を分析して原因を特定し、それに対して直接的効果がある具体的な対策で解決することが重要なはずだが、今回の場合、状況がほとんど公開されず(場合によっては原因の特定調査もされていないのかもしれない)、具体的な対策にフィードバックできることが非常に少ないということだ。もちろん医学的なことに対しては、専門的な治験、無作為化した比較対照実験などの正しい実証が必要であろう。まさか条件を変えてわざと感染させる人体実験を試すわけにはいかない。そのような下で現実的な感染防止対策を素早くとるには、いわゆるプロファイリング的手法で、原因の可能性が高いものはとりあえず全て潰してしまう方が得策だろう。情報共有不足が大変残念だ。

 これは、教育の世界でも同様であろう。学習プロセスと学習効果についても、原因となる要因を変えて、生徒をモルモットのように実験するわけにはいかない。

 ビッグデータのプロファイリングによる仮説と実証がこれからは重要になるだろう。ただし、ロジカルなデータ分析を重視しても、プロセスはいわゆるアナログ的手法、生徒と指導者との心と心が通うやり方に拘りたい。並立は可能なはずだ。

※この内容は2021/10塾だよりに掲載したものです。
 幸い、ようやく今のところ、コロナ禍は静まった状態にある。ただ、当面のところというだけで、完全に安全になったわけではないので、まだまだきちんと対処していかなければならない。
 ここで書いているように、この夏の一番大変な時期の直後に、貴重な話が聞けたので、すぐに打てる手をやりつくすことができた。おかげで、今のところ少し安心して推移をみていられることとなった。
 ただし、いよいよこれからが受験のシーズンである。
 最後まで油断せずに、塾生たちのゴールまで導けるように、頑張ります。

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