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「当てる」勉強ではなく、「当たる」勉強!!

私のお話になってしまいますが、高校時代は弓道部に所属していました。
小さいころにジブリ作品の「もののけ姫」を観てから、「弓ってかっこいい!」とずっと憧れていました。
弓道を、どうしてもやりたくて高校を選んだくらいです。

そうして念願の弓道部に入り、とても充実した高校三年間を過ごしました。

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そこで、初めて知ったこと…そして、とても目からうろこだったことがあります。
今でも、しっかり覚えています。

「弓は、『当てる』のではなく『当たる』ようにすること」

弓道は、的に向かって矢を放ち、ぱんっと射当てる競技です。
はたから見ると、要するに的に矢が当たればいい、と思ってしまいますよね。
私自身も最初そう思っていたのですが、弓道部に入って練習を続けていくうちに、そうではないということを知りました。

つまり、「正しい構えをすれば、おのずと矢は的に当たる」のです。

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これを知った時、何か頭の中でぱしっと響いたものがありました。
そもそも、弓道というのは、いきなり的を射る練習をするのではありません。
大抵、最初は「射法八節」という動きを学ぶことになります。
的を射るために行う八つの動きを、実際に的前に立つ前に身に着けなければならないのです。

格好よく的を射たいと思っている側としては、この動きを学ぶのはとてももどかしく大変で、早く的の前に立ちたいと思ってしまいます。
ですが、実際に的前に立って見ると、この動きのいかに大切なのかが分かってくるのです。

的前に立つと、人は「的を射なければ!」と躍起になります。
そうすると、あれだけ練習した「射法八節」も崩れていくのです。
こうなると、形が悪いだけでなく、的を射るのも難しくなります。
例えあたったとしても、それは力技になってしまい、その姿は美しくありません。

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弓道は、正しい形で「射法八節」をすれば、必ず矢は的に当たるのです。
逆に考えてみてください。
「なぜ『射法八節』のがあるのか?」
…それを考えてみると、「矢が当たる理想の動きが、この『射法八節』なのだ」ということになります。
つまり、矢を放つ力がうまく伝わる動きなのだということ。

ですから、「正しい動きを身に着ければ、必ず矢は的に当たる」のです。これが、弓道の本質です。
矢を当てることだけに固執した力技ではなく、弓道の本質を学ぶことこそが、もっとも正確に的を射当てることができます。

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今思うと、これは勉強にも通じると思うのです。
目の前の答えを出すことだけを目標として、その解法の手順を学ばなければ、必ずまた同じ間違いをしてしまいます。
そうではなくて、大事なのは解法を学ぶこと。
「解き方を知ること」です。

そして、数字が変わったり、問われ方が変わったとしても、その解き方さえ知っていれば、ちゃんと太刀打ちできる…そうしていくことが、勉強なのではないでしょうか。

ですから、問題をたくさん解いた時にも、必ず解説を読んで理解してください。
「こういう風に解いているんだ」
「そういう解き方もあるんだ」
解き方の道筋を把握し、自分が知っている以外にある、さまざまな解き方のバリエーションを知ること。

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「勉強は答えを出せばいい」のではありません。

探偵が犯人を捜すのに、動機やトリックなどを調べるのと同じです。
必ず、その答えを出すための「理由や道筋」があるはず。

答えばかりを追わずに、そうした視野を広げる勉強をしてみてください。
これが、多くの仲間と一緒に勉強し、自分以外の考え方を知るという、メリットそのものでもあるんです。

(教務 風野)