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【成果がすぐに実感できる】熱力学の学習戦略

こんにちは。
八千代緑が丘校の轟です。

今回のブログでは、入試物理における熱力学分野の
学習法について、一般的な戦略を解説致します。
効果的に理解を深め、効率よく学習したい受験生にオススメです。

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【熱力学分野の全体像】
□分野の特徴
熱力学分野では、主として理想気体の熱現象を通じで
温度と熱について学びます。
温度や熱は、日常的にも身近な量であるにも関わらず、
力学では扱いません。
温度・熱とそれらに関わる諸量・諸法則を扱えるように
なることが主要な目標となります。

・ミクロとマクロ
教科書では、気体の振る舞いについてミクロな説明と
マクロな説明が併用されて(悪く言えば行き当たりばったりに)
説明が進んでいきます。
本来の学問としての熱力学はマクロな視点を取るものです。
その本来の在り方に従って、学習する方が実は混乱が
少ないように思えます。

・学習効果が出やすい分野
力学同様、熱力学でも体系的な学習が重要となりますが、
範囲がかなり狭く、入試では最も得点源にしやすい分野です。
「熱力学の基本と例外」の考え方(詳細は後述)を身につければ、
それだけでかなりの問題が解けるようになります。
学習の見通しが立ちやすい分野とも言えるでしょう。

範囲が狭く、覚える公式・身につける思考法が最も少ない
分野ゆえ、学習効果が出やすいです。
そのある程度力学の学習が進んだ段階で早めに取り組み
はじめるのがオススメです。

このような事実にも関わらず、解法が整理できず、
ごちゃごちゃしていると感じている受験生も多いようです。
一気に解法を完全に整理することで、スッキリ理解できる
ようになります。


□出題分類と優先順位
熱力学分野の入試問題は次のように大きく分類できます。

① 熱力学の基本思考・例外処理
② 気体分子運動論
③ 熱量保存則の関わる計算問題

とにかく①の基本思考をマスターすることが大切です。
基本思考を理解することで、例外処理の考え方が「例外的」
であることが浮き彫りになり、入試問題の解法で迷うことが
なくなります。
その後,モル比熱や熱効率などの細かな知識を仕入れて
いきましょう。
それらの後、②や③についても対策するのがオススメです。


□ 苦手にしない心構え
・「化学」と混同しない
化学でも状態方程式や熱量保存則が登場します。
しかしながら、物理の問題は化学の問題と同じ考え方
では解けないことが多いので注意が必要です。

理想気体の状態方程式は、高校化学にも登場しますが、
「力のつりあい」は範囲外です。
それゆえ、化学の問題では圧力を決めるための条件が
問題文中に与えられることになります。
その際に求められるのは、問題文から条件を読み取る
能力です。

また、熱量を求める問題も高校化学で登場します。
しかし、「仕事」が範囲外ですから、比熱を用いれば
解きる問題が主になります。

以上のような化学の解法と物理の解法を混同してしまうことで、
物理の熱力学が苦手になってしまう受験生が多いので
注意してください。
物理では化学より多くの考え方が必要となるため、
しっかり意識して学ぶことが重要です。

・不毛な分類に惑わされない
教科書通りだと、定積変化・定圧変化・等温変化…
というような分類で学ぶことが多いですが、
入試問題の解法という観点では、例外処理を除けば
すべて基本思考で扱えます。
しっかりと解法に基づいて思考を整理しておくこと
が大切です。

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【熱力学の単元別ガイド】
ここでは、単元ごとに効果的な学習のためのポイントを
解説致します。

□熱力学の基本思考
とにかく徹底的に「基本思考」をマスターすることが大切です。
それにより次に扱う例外処理の考え方が「例外的」であることが
浮き彫りになり、入試問題の解法で迷うことがなくります。

・理想気体の状態方程式・内部エネルギーの公式、
 そして熱力学第1法則を押さえる。
・基本思考として、状態方程式から温度を求める流れ、
 熱力学第1法則を用いて吸熱量を求める流れを徹底的に
 訓練しましょう。
・P-V図をしっかり書くことがポイントです。


□熱力学の例外処理
理想気体の状態変化において、基本思考で扱えないものは、
断熱変化と非平衡状態を経るような過程(混合や拡散など)
のみです。

・断熱変化:ポアソンの公式と内部エネルギー変化からの仕事の逆算。
・非平衡状態を経る過程:全体のエネルギー収支。
 モル数の保存にも注意が必要です。
・教科書では、定積変化・定圧変化・等温変化などの分類に沿って
 学ぶことが多いですが、入試問題の解法という観点では、
 例外処理を除けばすべて基本思考で解けることに注意が必要です。
・この点を意識して学習することで、非常に効率よく効果的に
 学ぶことができます。

断熱変化であっても、準静でないものは非平衡状態を経る
過程としての取り扱いとなります。
ポアソンの公式は、問題文で与えられることも多いですが、
覚えておくことを推奨いたします。
化学反応が起こる場合はモル数は保存しませんが、
入試物理では化学反応を扱わないです。
熱力学第2法則についても触れられればよいです。


□熱力学の拡がり
後回しにした必須知識をここで仕入れます。
難しくもなく分量もないですが、誤解がよく見られる単元ゆえ、
基本と例外をしっかりマスターしてから取り組むことを推奨
致します。

・モル比熱:定義,マイヤーの関係式、
 定積モル比熱と内部エネルギーの関係。
・熱機関:効率の定義をしっかり頭に入れておきましょう。
・微小変化における近似:一度触れておきましょう。
・ピストンの振動:基本思考に当てはまらないようであるが…

熱機関と熱力学第2法則の関係などにも触れられれば面白いです。


□気体分子運動論
ミクロな視点で気体分子の運動を扱います。
ここまでの熱力学のマクロな見方と混乱が生じやすいため、
ここまでの学習がある程度進んだ後に取り組むことを推奨
致します。

・概念自体を難しく感じられる場合もありますが、
 問題パターンとしては直方体容器と球形容器の2つのみです。
・それら自力で議論を構成できるレベルまで学習すれば十分です。

余力が無い標準レベル受験生は、容器の壁面が動くパターンまでは
扱わなくてもよいかもしれません。
大学以降につながるという観点では、マクロな見方とミクロな見方を
対比して学んでいくのがよいです。


□熱量学
熱容量、比熱や潜熱を用いた熱平衡の計算問題については、
いくつかの問題を見ておけば十分です。

(八千代緑が丘校 轟)

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