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[巻頭言2020/05より] 脳の能力は∞

Shingaku Express / 誉田進学塾だより 巻頭言より
(2020年06月号)
脳の能力は∞

 ようやく少し落ち着き、緊急事態宣言の影響下から、今後に向けて進みだすべきときである(まだ宣言中の時期に書いています)。もちろん第2波の危険もあり、予断を許さない状況ではあるが、そのような中でも、受験生は限られた時間内で学力を伸ばすしかない。彼らにとって、受験に限らず、これからの人生で巡ってくるすべての周りの環境は、個人の意思ではコントロール不能な、自分以外から与えられた条件である。その中で、自分の意志で変えられるものにフォーカスを絞って、どこまで自分の力で道を切り拓けるかが問われているということを体験する貴重な機会であるはずだ。今回の与えられた試練も、自分を試されていると信じ、周りのせいにすることなく、自分ごとととらえ、自力で突破してほしいと願う。

(少々自慢話に聴こえそうで恐縮だが)気になったので、感染症の原理SIMモデルを少々調べて勉強してみた。感染拡大のかなり早い段階から、一次データに近いものを拾って、状況をみて判断はしていた。拡大局面の数字は指数関数なので、その動きは学生時代に物理系の勉強をしていた身には「感覚的」にピンとくるものだった。ただ減速局面に対する当初の報道の多くは納得いかない気がして文献を検索してみると、以前からの論文がいくつか簡単に見つかった(便利な時代である)。原理を読み解くと3本の連立常微分方程式(「微分」の「方程式」ではなく「微分方程式」という種類の式です)。見慣れない形の式なのでちょっと難しそうに見えたが、初期段階に限定すれば簡単に解けた。大学理工系の初級段階の物理数学程度であろうか(旧課程の高校数ⅢC範囲ならギリギリ解けるかもしれない)。

 流石に、脳の中でも何十年と使ったことのない部分だろうけれど、過去に「わかって」解けた問題は、思い出すことができる。たぶん当時は一夜漬けの勉強だったのではと思うのだが、わかって解決しておいた部分までは染み込んでいる。

 若いとき(老いても)は脳に負荷をかけて鍛えるべきだ。脳の能力は無限大。本人が諦めなければ限界はない。

※この内容は2020/06塾だよりに掲載したものです。
 文中の通り、緊急事態宣言期間(2020/05中旬)に書いている。
紙面の都合で紹介しなかった、探し出した論文から、理解した連立常微分方程式は以下のもの

 
dS(t) / dt = -βS(t)I(t)
dI(t) / dt = βS(t)I(t) - γI(t)
dR(t) / dt = γI(t)
 (ただし、N(t) = S(t) + I(t) + R(t) = const.)

 これは初期段階だけならば、基本解法だけで比較的簡単に解くことができる(忘れている可能性が気になり、昔の大学時代の教科書などを確認しながら解いたのだが...)。
 巻頭言の「本題」はそこまでの話だったが、実際には、現実の現象はパラメータのβ、γが社会的行動様式の接触確率などで変化してしまうので、このままでは動きが理解できない。
 解析的(数式の計算だけで)に動きをつかむことは非常に難しいので、このあとエクセルで簡単なシミュレーションするワークシートを作成して、意味をつかんだ。
 感染減速時の動きがよくわからなかったのでやってみたのだが、緊急事態から緩めすぎて第2波になる場合やそのあとの動きも非常によくわかる。
 便利な時代である。昔の学生時代は、まだ環境がそこまで進んでいなかったので、意味が掴めず挫折した数学の数々...(単に不勉強だっただけか...)。

 現在、再びの感染拡大が止まらない。経済活動を維持しながら、感染が広がらない行動様式の模索が必須な状況が続くだろう。
 人類の英知が勝利することを信じて、それぞれの役割で最善の努力を続けるしかない。

 頑張ろう、英知とともに!

このまま行動様式の状況が変わらない場合の感染判明者数の動きのSIMモデルによる推測(理工系なら右のSemi-Logグラフの方がわかりやすい)
ファイル 447-1.jpg ファイル 447-2.jpg